2018 Fiscal Year Research-status Report
アメーバ経営の歴史的形成過程に関する研究:1980年以降を中心に
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16K17216
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
潮 清孝 中央大学, 商学部, 准教授 (90551747)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 京セラ / アメーバ経営 / 歴史 / 多角化 |
Outline of Annual Research Achievements |
アメーバ経営に関する歴史(主に80年代以降)について、引き続き調査を行っている。80年代以降のアメーバ経営および京セラの特徴については、特に戦略会計論の観点から、2017年12月の出版物にまとめた。この点については当初の予定どおり順調に進捗し、調査の進展とともに、国際的な出版社から英語著書の形でまとめることができた。2018年度については、それらの成果について、さらに異なるアプローチで調査を進めることとし、以下のような形で実施した。 2018年度については、稲盛記念館に保管されている各種資料の閲覧や、80年代以降の財務データの分析を中心に実施した。特に80年代以降は、京セラが多角化を急速に行った期間と重なっており、財務的、会計的な特徴についても分析可能と思われる。特に財務分析については、分析手法についての基礎的な研究も同時に行っている。申請時点においては必ずしも予定していなかったが、ここ数年間で急速に発達した機械学習の手法の利用についても検討している。具体的には過去の財務諸表データおよび社内報などの定性情報についても分析対象に含め、1980年代以降の京セラおよびアメーバ経営の特徴について、新たな角度から分析を試みている。この点については、現時点では明確な成果は得られていないが、2019年度において、学会報告や論文投稿などの形で成果の公表を目指す。特に現在執筆中の論文については、英語で作成しており、国際的な舞台で公表することを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体としては「おおむね順調に進展している」と考えられるが、大きく以下の2点について記す。 第一点目は、戦略会計論の観点から、京セラおよびアメーバ経営(主に1980年代以降)について分析した点である。この成果については、2017年12月に出版した英語著作(共著)に収録・公表されている。筆者が行ってきたこれまでの研究蓄積に依拠している部分もあるが、国際的な出版社から海外に向けて研究成果を発信できたことは、当初の予定以上に早く、また、効果的に成果を発信できたと考えている。 第二点目は、上記成果の後に開始した研究についてである。当初予定していたインタビュー調査については、申請時点においても多少懸念をしてはいたものの、当時を知る方々が多く退職していることなどから、必ずしも順調ではない。そこで、代替的な手段として、稲盛ライブラリーなどをはじめとする京セラ関係部署に保管されている様々な資料調査、および1980年代以降の京セラの財務データにもとづく分析を実施している。これらについては、先述の通り、機械学習などの近年急速に発達してきた手法を取り入れていることから、2018年度中は、必ずしも明確な研究成果を生むことはできなかった。この点については2019年度においても引き続き実施し、年度中の成果公表を進める。 以上のように、計画以上に進んだ内容と、当初の計画を一部変更したために、やや遅れている内容が併存している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記(「現在までの進捗状況」)にも記載されているとおり、引き続き1980年代以降の京セラおよびアメーバ経営について、資料調査や財務諸表分析などを中心に実施する。当初予定していた当時の経営陣らに対する聞取り調査についても引き続き京セラへの依頼を行うとともに、実施可能性について模索する。
また同時に、さらなる研究成果の公表についても進展を図る。前半の2年間で既に国際的な出版社による著作刊行を達成していることから、それらのルートを利用しながら、国内のみならず国外での学会報告、論文執筆、著作刊行などを目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(繰越額)発生の大きな理由は、2017年度に出版した著書について、英語翻訳を利用せず、自ら英語で執筆(のちに英文校正のみ実施)したためである。
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