2016 Fiscal Year Research-status Report
投資家との対話における株式アナリストの役割と可能性
Project/Area Number |
16K17217
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
奈良 沙織 明治大学, 商学部, 専任准教授 (40642880)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | アナリスト / アナリスト予想 / アナリストカバレッジ / ディスクロージャー / 経営者予想 / 価値関連性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は主に以下2件について研究を行い、うち1件(後者)について学会発表を行った。 第1に、銀行借入依存度と企業のディスクロージャーおよび企業を取り巻く情報環境の関係について分析を行った。銀行借入依存度の高い企業では、資金調達を間接金融に頼っていることから、投資家向けの情報開示が疎かになっている可能性がある。こうした場合、アナリストによる調査など外部の情報提供が十分にあれば問題ないが、こうした企業ではアナリストによる調査も十分に行われていないことも多く、結果として投資家は情報の非対称性に伴う追加的なリスクを負うと考えられる。分析では、企業のディスクロージャーとして経営者予想を、企業を取り巻く情報環境としてアナリスト予想やその分散、アナリストカバレッジを取り上げ、それらと銀行借入依存度の高い企業の関係に関して調査を行った。この結果、銀行借入依存度の高い企業では経営者予想やアナリスト予想の精度が低く、アナリスト予想の分散が大きくなっていることが明らかになった。さらに、銀行借入依存度の高い企業ほど、経営者予想やアナリスト予想の情報が株価に織り込まれづらくなっていることが明らかになった。 第2に、企業規模による経営者予想とアナリスト予想の精度と価値関連性について調査した。大規模企業では一般的に企業から多くの情報が提供されているが、これに加え、アナリストによる情報提供など企業外部の情報も十分にある。これに加えて、小規模企業ではアナリストによる情報提供は十分になく、企業による情報開示が重要となるため、企業規模によって経営者予想とアナリスト予想の重要性は異なると考えられる。本研究の分析の結果、小規模企業では経営者予想の精度と価値関連性が高く、大規模企業ではアナリスト予想の精度と価値関連性が高いことが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究テーマに関し、研究実績の概要に示した研究は学会で発表を行い、発表時に得たコメントをもとに修正を行い投稿の準備を進めている。加えて、分析に必要なデータは決算のタイミングでアップデートしておりデータベースの構築も行っている。さらに、学会発表にまでは至っていなものの、分析を進めている研究もあることから、おおむね順調に推移していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
既に学会で発表を行った研究に関しては、論文としてまとめるなど投稿の準備を進めている。まだ学会発表等に至っていない研究に関しては順次分析を進める。なお、必要なデータに関しては整備を進めており、財務関連のデータに関しては順次アップデートしながら分析を行っていく。
|
Research Products
(1 results)