2022 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the Process of Constructing Accountability for Internal Reserves in Social Welfare Corporations
Project/Area Number |
16K17218
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
中澤 優介 愛知学院大学, 商学部, 准教授 (30755856)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アカウンタビリティ / 戦略的アカウンタビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の研究期間においては、交付申請書の「研究の目的」に記載の3つの研究目的のうち、「アカウンタビリティの履行において、想定された責任関係からの「ズレ」が生じる問題の構造」を明らかにする研究を重点的に進めてきた。 したがって、これまでの研究期間においては主に、想定された責任関係からの「ズレ」に関して、アカウンタビリティが有する構造や諸要素との関係性の分析や、その「ズレ」が履行の実践にもたらす問題、そしてその問題の解消に貢献するアカウンタビリティの在り方(戦略的アカウンタビリティ)に関する理論的研究を行い、その成果は論文や学会報告として発表してきた。 最終年度である本年度の研究は、昨年度の戦略的アカウンタビリティの可能性に関する研究をさらに展開したものに位置付けられる。昨年度の研究では、責任関係をアカウンタビリティ関係に落とし込むプロセスに定量化が与える影響について、「通約」の概念に焦点を当て調査したが、この「通約」が必要となる背景には複数の価値の存在が前提となる。また、アカウンタビリティ履行の目的は、自身の行為の正当化にある。これらを踏まえ本年度は、L. ボルタンスキーとL. テヴノーによる著書『正当化の理論』を中心とする、「価値の正当化」をめぐる議論をもとに、想定された責任関係とは異なるアカウンタビリティが履行されるに至るプロセスについての研究を行った。この研究は、アカウンタビリティの「ズレ」が生じるプロセスを複数価値とその正当化という観点から明らかにする可能性がある他、その「ズレ」がもたらす問題の解消に貢献する戦略的アカウンタビリティの概念をさらに精緻にする可能性があるものである。しかし、『正当化の理論』を中心とする価値の正当化の議論の理解や、その議論に基づく先行研究の確認・整理に研究時間の多くを費やすこととなり、本年度内に具体的な研究成果に結びつけることができなかった。
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