2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K17219
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
曽場 七恵 名古屋学院大学, 商学部, 講師 (50756757)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 公会計 / フランス / LOLF |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、フランスの公会計制度改革の動向を調査すること目的としている。平成28年度は国の制度改革から10年が経過した節目の年であったことから、国レベルの改革の動向を文献精査および現地調査の観点から調査した。 2001年に「LOLF」と称する国の公会計に関する法律の改正が実施され、2006年度決算より企業会計的手法を用いた財務諸表の作成と公表が義務づけられた。企業会計のように財務諸表を国が作成することはフランスの歴史上では初の試みであり、この財務諸表は同改革で設定された会計基準に準拠して作成し、会計検査院によってその合規制を検査される仕組みが形成された。2016年(平成28年度)には、国の財務諸表が作成されて10年が経過したことにより、フランスの会計検査院ではLOLFに基づく公会計の改革の状況をまとめた意見書を公表した。本研究ではこの意見書を中心に文献精読を行うことによって改革の進行状況の検討を実施した。 また、同年に日本の会計検査院においてフランスの国の公会計および公監査制度の状況に関するインタビュー調査が企画され、本調査へ同行することが叶い10月に現地にてインタビュー調査を行った。この調査では、会計検査院や財務省公会計局、公会計基準審議会、国民議会等、フランスの公会計制度に携わる諸機関・諸組織から直接意見を聞く機会に恵まれた。 平成28年度の研究は上記2点の調査研究を中心に、国レベルの公会計改革の動向調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究の主体となるフランスへ現地調査が実現したことは、大きな成果であった。フランス政府が公表する報告書等の紙媒体からでは読み取ることの出来ない、公会計改革を遂行する関係者の情熱や今後の方向性を聞く機会を得ることができた。本インタビュー調査によって得られた情報量が予定よりも多かったことから、学会発表は行ったものの、論文としての業績を挙げることまでの計画を達成することができなかった点において反省点がみられる。
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Strategy for Future Research Activity |
フランスへ現地調査に向かうための準備として、フランス政府が公表する報告書等の精読およびインタビュー調査によって得られた情報量が予定よりも多かったことから、学会発表は行ったものの、論文として業績を残すまでの計画を達成することができなかった。 次年度は地方自治体の調査へ移行する予定であるが、前半は国の改革動向を示す論文作成にも注力し、当初計画の遅れを取り戻したいと考えている。
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Causes of Carryover |
物品費に関しては、主に研究図書の購入が予定よりも少なかったことが原因として挙げられる。その理由としては、フランス政府が公表する報告書や法令等、ウェブ上で無料にて入手可能な資料を中心に研究したためである。 旅費に関しては、科研費応募時、会計検査院におけるインタビュー調査への同行が叶った場合の旅費として、叶わなかった場合には国際学会へ参加するための旅費を計上した。結果として会計検査院の現地調査に同行し、さらには会計検査院からの調査委託を受けた起業との兼ね合いがあったこと、並びに国際学会へ参加しなかったことから、旅費の執行が当初予定よりも少ない結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国の場合と異なり、フランス地方自治体に関する情報はウェブ上の報告書よりも文献が多く出版されているため、研究図書の購入費用並びに資料のPDF化を図るための物品購入のために使用したい。 加えて、次年度は地方自治体への現地調査および国際学会への参加・発表を予定しているが、その旅費に充当したいと考えている。
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