2019 Fiscal Year Research-status Report
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16K17219
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
曽場 七恵 名古屋学院大学, 商学部, 講師 (50756757)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 公会計 / フランス / IPSAS / IAS / IFRS / PCG |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の研究内容は、フランス公会計における国際会計基準の影響についてである。 会計におけるグローバル・スタンダードというと、企業会計の領域では国際会計基準(IAS)および国際財務報告基準(IFRS)が、公会計の領域では国際公会計基準(IPSAS)が存在する。もともとは企業会計の領域で先行した国際基準は、グローバル化が加速する世界において、先進国や途上国の隔てなく多くの機会で利用されている。民間企業において、近年、この基準が大きく注目されたのは、EUにおいて2005年度決算より域内上場企業の連結財務諸表への強制適用された時である。EU加盟国であるフランスには、プラン・コンタブル・ジェネラル(PCG)と称する伝統的な国内会計基準があり、両者をいかに共存させるのかという点が問題となった。企業会計の領域では、上場企業以外は自国基準の適用を継続させることで、伝統的な会計基準を保護する立場を選ぶ国が目立った。 このような背景のもと公会計に目を向けると、公会計領域の会計基準のグローバル化は、2000年代に国際公会計基準(IPSAS)が中心となる。これまでの本調査研究でも明らかにしたように、フランスでは1990年代に地方公共団体の会計改革を実施したが、その際にはIPSASの影響はみられなかった。2001年から開始されるフランス中央政府の会計改革では、IPSASが公表されていることからも国際基準を考慮して改革を実施したことが明らかになっている。 加えて、企業レベルでは自国の会計基準にグローバル・スタンダードを導入することに消極的であったフランスは、公会計レベルでは積極的な態度を示したことで、国際化がフランスという国にもたらした影響について比較検討することが当該年度の調査研究の内容である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
産休・育児休暇取得後の1年間であり、当初予定の海外調査研究の実現までに至らなかった。国内における文献調査を中心に研究を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
フランス公会計の改革動向を国レベル、地方レベルに区別したうえで、国際社会におけるフランスの状況を整理することが最終年度の計画である。これまでの研究成果をまとめ、学会報告及び論文投稿に励む所存である。 その際に、最終的にフランス公会計の特徴をまとめるべく、先進諸国の公会計制度との比較研究を検討している。これに関しては文献調査を中心に行う。 また、本研究における最大の目的である、フランス公会計の最新動向を把握することに関し、研究内容の情報を更新すべく、昨年度に断念した海外調査を実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
産休・育児休暇取得後の1年間であり、当初予定していた海外現地調査を見送り、研究機関の延長を決めたことにより次年度使用額が生じた。次年度には、海外現地調査を計画している。
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