2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17219
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
曽場 七恵 名古屋学院大学, 商学部, 講師 (50756757)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 公会計 / 国際会計 / IPSAS / IFRS / フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はフランスや日本の公会計制度の関連をはかるため、両国の会計制度に共通する国際的な会計基準(IFRSとIPSAS)に着目し、その内容を深めることとした。 会計基準は、本来であれば各国の文化や商習慣、法律等に基づき作成されるものである。多国籍企業の事業展開や、国際間の取引や投資の増大等、ヒト・モノ・カネが国境を越えて企業の活動領域や資本市場がグローバル化したことで、各国の会計基準を調整し、比較可能な財務諸表の作成に役立つ会計基準の形成が求められるようになった。この様な経緯で誕生したのが企業会計における国際的な会計基準であり「国際会計基準(IAS)」および「国際財務報告基準(IFRS)」と称する。EUでは2005年度よりIASおよびIFRSに則った連結財務諸表の作成と公表を上場企業に強制適用しているが、日本では企業によって任意適用の状況にある。 一方、公会計の領域では「国際公会計基準(IPSAS)」が存在するが、これは上述の企業における国際基準をもとに創設されて経緯がある。しかしながら、企業のような私的部門と公会計が管轄する公的部門ではその行動原理および目的は異なるため、会計基準の概念にも相違がある。私的部門と公的部門では様々な箇所において違いがみられるが、同じ社会に存立する組織体として、国際化社会にどのように対応すべきなのかという同じ問題を抱えている。そこで本研究では国際的な会計基準の変遷を概観し、私的部門と公的部門における国際基準や概念フレームワークの比較検討を行った。これにより、グローバル社会における会計の役割を公会計と企業会計の両側面から検討し、今後の公会計制度改革への展望を広げることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は本研究課題の最終年度であり、フランスへ渡り現地調査を実施する予定であったが、新型コロナウィルス感染症の拡大により海外渡航が叶わず、当初の計画どおりに進行することはできなかった。また、研究報告を予定していた学会の開催中止が相次ぐ等、国内外における研究活動が自粛となる環境下において、日本のフランス会計研究者とオンラインで研究会を開催し意見交換を行った。また、研究成果としては国際会計基準に関連する査読論文1本に留まった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針としては、フランスへの渡航も視野に入れつつも、着実な研究成果を挙げるため、改めて文献収集および精読に注力しフランス公会計制度の改革とその発展を論文としてまとめることを目標に掲げたい。 これまでは第1回目の渡航インタビュー調査やフランス各省庁がHPで公表している資料をもとに最新の動向を追い求めてきた。今年度は、フランスや日本で出版されてきたフランスに関する会計書籍をもとに、過去から現在への会計概念の変遷を整理することで改めてフランス公会計制度の特徴を見いだしたい。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウィルス感染症の拡大により、予定していた研究計画を遂行することが困難であり研究期間の延長を申し出た。
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