2021 Fiscal Year Research-status Report
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16K17219
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
曽場 七恵 名古屋学院大学, 商学部, 講師 (50756757)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 公会計 / 国際会計 / フランス / IPSAS / RNCE |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルス感染症の影響を受けて、2020年度も予定していた渡仏による研究調査が頓挫したため、国内において文献精読による研究を中心に実施する方向へと転換することが余儀なくされた。今年度は、フランスの会計基準を企業、公的組織、国際基準と比較し、公会計制度の会計基準についてその特徴を見出すことを目指した。 フランスの企業における会計制度の国際化が公会計制度にも影響を与えているのかを検証することを研究の目的に据え、会計基準について企業会計と公会計の比較を行った。1970年代以降、国際会計基準(IAS)および国際財務報告基準(IFRS)という2つの国際基準が存在し、これらが企業会計においてグローバル・スタンダードとしての役割を果たしている。この2つの基準は、世界各国の企業会計制度に変革をもたらしたが、その影響は企業会計に留まらず公会計の領域にまで及び、200年代には国際公会計基準(IPSAS)という公会計のグローバル・スタンダードも制定された。 フランス国内では、1982年に中央集権国家としての体制を地方分権化と地方分散化によって解体し、それに伴う地方自治体の財政運営の改良に向けた公会計改革が1994年実施され、2001年に地方自治体の改革に続き、国レベルでの行財政改革「LOLF」が実施された。この国の会計改革では、公的資金を用いる財政政策ならびに公共サービスの効率性、硬化性、品質の向上を目的とし、フランス国内ではじめて公会計基準(RNCE)が創設された。 上述のIASやIFRS(企業会計)、IPSAS(公会計)、RNCE(フランス公会計)の会計基準を比較し、それぞれの相違点について検証したことが今年度の研究内容である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の影響において、フランスでの現地調査が延期されたことで当初予定していた研究ができていないことが大きな理由である。国内で実施可能な文献精読を中心に調査研究を進めて、本研究課題をまとめる所存である。 現状では、フランスの国(中央政府)の公会計制度改革とその動向に関する調査研究が終了し、論文として公表済みである。上記事情により延期となった地方自治体の公会計制度の改革動向を現地調査ではなく文献資料精読による調査へ変更し、そして、フランスと諸外国の公会計制度の比較検証を国内調査として実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度として、フランス公会計制度の改革動向をまとめ、その特徴を整理することを目標とする。まとめるにあたり、公会計制度およびその改革の動向を下記の3つのパートに区分する。1.フランスの国(中央政府)2.フランスの地方自治体(地方政府)3.フランス全体 フランスの国の公会計制度は、2001年の公会計制度改革「LOLF」のその後の動向を、本制度運営の関係者へのインタビュー調査と、政府が公表する情報資料を照合することで、国レベルの公会計制度の特徴について整理する。 地方自治体の公会計制度は、1994年「M14」会計指令をもとに実施された発生主義を導入した会計情報の活用や展開について、文献資料をもとに整理する。 上記1.および2.は国や地方自治体をミクロレベルで着目した研究であるが、3.フランス全体はマクロレベルにおいて、フランスと諸外国の公会計制度の比較をおこなうものであり、最終年度の研究テーマの中心となる。公会計制度の改革とその動向は、世界の潮流にもとづくものであるのか、フランス固有のものであるのかを関連資料をもとに検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響により、フランスでの現地調査を含め十分な研究活動を行う環境が整わなかったために、延長申請をした。
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