2022 Fiscal Year Annual Research Report
Reform for Public Sector Accounting in France
Project/Area Number |
16K17219
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
曽場 七恵 名古屋学院大学, 商学部, 講師 (50756757)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 公会計 / フランス / LOLF / 会計基準 |
Outline of Annual Research Achievements |
度重なる延長を踏まえた最終年度であるが、本研究の主目的であるフランスでの現地調査が新型コロナウィルス感染症の影響で断念せざるを得ない状況が続いたことで当初思い描いていた研究活動が十分にできなかったことが心残りとなった。 本研究では、フランスの国および地方自治体の公会計制度の動向を把握することを目的とし、文献調査や公会計制度の制定を管轄する国家機関やフランス人の公会計研究者との意見交換等の現地調査を行うものであった。これにより日本で考えられてきたフランス公会計制度の捉え方に違いがみられることが発覚した。 例えば、日本の公会計制度に存在する「出納整理期間」をフランスでは廃止したとまで先行研究で周知されていたが、今回の調査では具体的な廃止方法がわかった。LOLFという公会計の法制度改革とともに実施された公的組織全のITシステム改善により会計期間のほかに出納整理期間の必要性がなくなった。また、ITシステム改善により主要な会計情報のひとつである損益計算書も不要となり作成していないという事実が発覚したことは大きな成果となった。 加えて、LOLFという法制度改革に基づき制定された「国の会計基準(RNCE)」であるが、先行研究ではフランスの国(中央政府)用の会計基準であって地方自治体(地方政府)のものではないとの見解が周知されていたが、最終年度の研究により当該会計基準は国と地方の両方に適用される基準であることが判明した。これにより、フランスは中央政府も地方政府も企業会計の手法を導入した改革を実施しただけでなく、国際会計基準への歩み寄りも認められた。 最終年度は、国が公表する資料や書籍による文献収集及びその精読により上述のような新しい事実の判明に至ったが、社会的環境や個人都合により最終年度内に特筆すべき研究成果を生み出すことができなかった。2023年4月以降にこれらの成果を公表予定である。
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