2016 Fiscal Year Research-status Report
自然資本経営・会計の実態調査及び実証分析を用いた国際的研究
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16K17222
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岡 照二 関西大学, 商学部, 准教授 (10599260)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自然資本経営 / 自然資本会計 / サステナビリティ会計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会科学的アプローチの視点から、国際的な環境問題・資源枯渇問題解決のために、自然資本経営・会計の実態調査および実証分析を用いた国際的研究である。とりわけ、自然資本の分析・評価・開示方法について注目し、日本企業の自然資本経営・会計の実態を定性的分析および定量的分析を用いて明らかにすることにある。 初年度の平成28年度は、まず、海外学術雑誌および国内学術雑誌に掲載されている、自然資本経営・会計に関する学術論文について文献調査(システマティック・レビュー)を行った。EBSCO、WEB OF SCIENCE、CiNii等を用いて検索したが、その結果、自然資本経営・会計に関する学術論文はあまり多くないことが明らかとなった。また自然資本の測定・評価および情報開示の具体的な手法として、①ESCHER、②環境損益計算書について考察し、実際に自然資本経営・会計を実施している日本企業に対して、インタビュー調査を実施した。その研究成果については、日本原価計算研究学会第42回全国大会およびEcoBalance2016において研究報告を行い、日本人研究者および海外の研究者らと意見交換した。そして、学会報告を学術論文にまとめ、査読付き国内学術雑誌へ投稿している。 さらにドイツで開催されたEMAN Conferenceに参加し、欧州のサステナビリティ経営・会計に関する最新動向をキャッチアップすることができ、2年目以降の質問票調査に役立つ情報を得ることができた。 よって、初年度の研究活動として、当初の研究計画どおり、自然資本経営・会計に関する定性的研究を実施することができ、2年目以降の定量的研究を実施するための問題意識、仮説設定、リサーチデザインを整理することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画について、自然資本経営・会計分野に関する文献調査、日本企業へのインタビュー調査、欧州の研究者らとの情報交換等、すべて目標通りに研究が進んでおり、一定の研究成果を発表することもできている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目以降、初年度に実施した文献調査、インタビュー調査を踏まえて、日本企業における自然資本経営・会計の実態を明らかにするため、質問票調査を実施する。その後、質問票調査結果から得られたデータを使用して、統計的手法を用いた実証分析を行う予定である。 次に、東洋経済新報社『CSR企業総覧』および日経リサーチ『環境経営度調査』による自然資本に関連する非財務データと日経NEEDS-Financial QUESTによる財務データを使用して、自然資本データと会計データとの関係についても、実証分析を行う予定である。 また、自然資本経営・会計を実施している日本企業に対しても、2年目以降も継続的にインタビュー調査を実施し、産学が連携することで、学術面・実務面の両側面から自然資本経営・会計の展開について多面的に把握することができると考えられる。
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Causes of Carryover |
平成28年度において、当初、購入予定であったデータベースを購入しなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度において、平成28年度に購入できなかったデータベースについて,平成29年度の助成金と合わせて購入し、また、質問票調査のための郵送代等について使用する計画である。
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