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2017 Fiscal Year Research-status Report

共生型マルチエスニック・コミュニティ形成の社会的条件―ロサンゼルスを事例として

Research Project

Project/Area Number 16K17225
Research InstitutionTokyo University of Foreign Studies

Principal Investigator

土田 久美子  東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (20553035)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywordsエスニック・コミュニティ / マイノリティ / エスニシティ
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は以下のとおりである。すなわち、アメリカ合衆国において複数の集団が混在するエスニック・タウンの分析をとおして、集団間の文化的差異や社会的・政治的資源の格差は、いかに調整され、協働関係が形成されるのか、そのための社会的条件を析出することである。
29年度は、日系人のエスニック・タウンであるリトルトーキョーを中心にし、そのコミュニティ内での歴史的変遷に関わる文書資料や関連する人びとへのインタビュー・データの収集を集中的に実施した。特にマルチエスニックな側面ならびに当該地区の都市再開発に対するコミュニティのリアクションとその後の変化について、人びとへのインタビューを実施した。その成果として、再開発に応じたコミュニティの組織化と対応並びに戦略を明らかにすることができた。インタビューから明らかになったのは、一方で彼らのエスニックな文化や歴史を象徴する建造物などを保存する活動を継続し、他方で非エスニックな要素を取り込みながらコミュニティの活性化を図るという点である。
上記に加えて、他の都市研究者や、コミュニティ組織の関係者との議論を重ねたことから、対象コミュニティだけではない、ダウンタウン地区の変化についても有益な情報を得ることができた。特に政治資源の獲得と、コミュニティ間のネットワークなどについては多くの示唆を得ることができた。
30年度は、対象事例のフォローアップを行いながら、前年度の成果を踏まえて最終的な分析・考察を行いたいと考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

29年度の前半は理論的枠組みについて再検討し、移民やエスニック・コミュニティ、エスニック集団による社会運動に関する先行研究を精読した。コミュニティ・ガバナンスについての研究にも目を配りながら、コミュニティ形成に関わるものを中心に検討した。そのなかにはアメリカのみならず日本国内をフィールドとした研究なども加えた。そのうえで、同様の事例を扱う先行研究についてあらためて精読した。
後半は日系コミュニティを集中的に調査した。対象地区の都市再開発が活発化する時期の資料はもちろんのこと、よりマルチエスニック化が顕著になる2000年代以降についての先行研究や文書資料などを収集し分析した。加えて、コミュニティ組織の代表者などにインタビューを行い、エスニックな個別性を保存する活動についてその戦略を明らかにすることができた。そこからは、個別性の保存という活動が他方で複数の集団間の均衡を保っているのではないかという暫定的な結論に到達した。さらには、対象コミュニティ内のマルチエスニックな特徴や変化だけではなく、異なるコミュニティ間の関係についても考察に加えたほうがいいのではないかと考えるに至った。

Strategy for Future Research Activity

平成30年度は以下のように研究を実施する。
1)理論枠組み、事例に関するフォローアップ:年度の前半~夏季までは、理論枠組みの確認を行う。その上で、今までのデータの再検討などを行いフォローアップ調査の準備を行う。
2)夏季はロサンゼルスでの丹念なフォローアップ調査を行う:その際は前年度の調査から示唆を得た側面についても調査項目の中に含める。
3)最終考察と成果発表:異なるエスニック集団間または異なる世代によって構成される集団内の連帯に関する事例調査から得られた知見をもとに、異なるエスニック集団による連帯が成立しうる社会的条件について明らかにし、最終的な考察を行う。その成果は、学会や研究会で発表するとともに論文にし、移民研究や社会学における学術雑誌で発表する。また英語論文にし、国内の英語論文雑誌や国外の雑誌で発表する。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由は、通訳などにあてる謝金等が発生しなかったこと、ならびに文書資料などが電子データ化することが可能だったために資料収集にかかる費用が予定額を下回ったことである。
この次年度使用額と30年度助成金は、フォローアップ調査の際の旅費、および先行研究を精査するための書籍購入費、成果発表に関する旅費や印刷費として使用する計画である。

URL: 

Published: 2018-12-17  

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