2021 Fiscal Year Research-status Report
共生型マルチエスニック・コミュニティ形成の社会的条件―ロサンゼルスを事例として
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16K17225
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| Research Institution | Komazawa University |
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Principal Investigator |
土田 久美子 駒澤大学, 文学部, 講師 (20553035)
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2016-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | エスニック・コミュニティ / 協働関係 / 日系アメリカ人コミュニティ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、事例の詳細な分析をとおして、アメリカ合衆国において複数の集団が混在するエスニック・タウンを対象に、集団間の文化的差異や社会的・政治的資源の格差が、いかに調整され、いかに協働関係が形成されるのか、そのための社会的条件を析出することが本研究の目的である。
この研究課題に対して、2021年度はそれまでの成果の一部をまとめて著作の一部として出版した。具体的には日系コミュニティと他集団との協働関係の構築に関わるところである。その内容としては、主に次の2点である。まず、協働関係が構築するまでの間の日系コミュニティにとっての主要な関心事であった戦後補償請求運動のプロセスに注目し、その運動プロセスのなかでいかに複数のエスニック集団の関係が築かれたかを明らかにした。特に、どのように協働関係を正当化するフレーミングが行われたか、また、当時の運動の中心的参加者たちによる経験と、他集団との関係形成の関係について議論した。
この部分を踏まえて第二に、コミュニティの再形成と維持にも大きく関わる要素として、その関係が運動終結後にどのように展開していったかを明らかにした。その際に用いたデータは、これまでの調査で得られたインタビュー・データや資料である。
今回の著作において取り上げたのは2000年代前半の部分であるため、今後は、これまで収集したデータやその分析に基づく成果をさらに論文などでさらに発表する予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度も、2020年度と同様に新型コロナウイルスの影響を受けフィールドワークをすることができなかった。そのため、当初の研究計画からはやや遅れていると言わざるを得ない。その結果として、直接的な調査（インタビューや参与観察など）を十分に行うことができなかった。そうした事情から、事例に関しては、対象に関わる団体によるシンポジウムやニューズレターなど、ウェブ上での情報収集に務めた。
その一方で、それまでに収集していたデータの整理と分析内容の確認ならびにそれらに関する執筆作業に尽力することができた。特に執筆に関しては、これまでの成果の一部を収録した本を出版することができた点で、一定の達成ができたと考えている。
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| Strategy for Future Research Activity |
今年度は、夏期にフィールドワークを行う予定である。特に、ロサンゼルスのリトルトーキョー地区は、過去2年フィールドワークができない間にコミュニティの中心となるような新たな施設が建設された。このことによって同地区内での日系コミュニティの世代間、ならびに複数のエスニック集団間関係が大きく変化を遂げた可能性がある。このことを考えると、単なるフォローアップ以上の重点的な調査を行う必要性もあるため、改めて対象としてきた組織や関係者にインタビューを実施し、また参与観察も行いたいと考えている。加えて、これまでの成果を論文や学会報告などを通して発表したいと考えている。
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| Causes of Carryover |
2021年度予定していたアメリカでのフィールドワークが新型コロナウイルスの影響により実行できなかった。そのために、次年度使用額が生じた。
次年度（2022年度）は、2021年度に予定していたフィールドワークを、アメリカ合衆国のロサンゼルスで行う予定である。その際は、特にフィールドワークを実施できなかった過去2年の間にできたコミュニティ施設によって生じた変化を調査項目のなかに含み、インタビューと参与観察を実施する。あわせて、これまでに収集してきた資料（インタビュー・データやb運書資料）についても、必要な限りにおいてフォローアップを行う。それらの成果については年度後半から論文などで発表する予定である。
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