2016 Fiscal Year Research-status Report
性暴力被害による絆の断絶,修復しうる支援構想についての研究
Project/Area Number |
16K17227
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横山 麻衣 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任助教 (60756089)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ジェンダー / 性暴力 / 社会関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,性暴力被害が被害者にもたらす影響および被害者支援について,主に社会関係の視点から把握し,よりよい支援構想を提示することである。 従来,性暴力被害がもたらす影響は,精神や身体の状態といった,個人的な水準で捉えられてきた。すなわち,性暴力被害はトラウマやPTSD,慢性的な身体の不調などをもたらすといったことが様々な実証研究から明らかにされてきた。しかし,性暴力被害は被害者の社会関係にも影響をもたらしうる。従来の研究では,性暴力被害後における社会関係上の困難は,トラウマ反応の一症状や,生活の質における影響の一部といった周辺的なものとしてのみ位置づけられ,また,なぜ・どのようにそうした社会関係への影響がもたらされるのかはほとんど着目されないできた。しかし,性暴力被害後に被害者が経験するさまざまなプロセスが,社会構造や社会規範と分かちがたく結びついている社会過程であることを踏まえれば,社会学的な枠組みで把握・考察していく必要があろう。 本研究は「性暴力被害による絆の断絶と修復についての研究」(研究活動スタート支援:課題番号15H06089)を引き継いだ研究である。28年度は,性暴力被害後に友人や家族とのかかわりは減少する,性暴力被害後にソーシャルサポートへの予期は減ずる,などの仮説のもと,性暴力被害に遭ったことがある者を対象に,質問紙調査およびインターネット調査を行った。その結果,上記仮説が支持されうる知見が得られ,社会関係水準でも性暴力被害がもたらす影響を把握していく必要性が確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおり,実査および分析が終了したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
28年度の研究成果については論文執筆中であり,今後も計画通り進めていきたい。
|