2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Damage on Sexual Assault Victim's Social Relationships and the Support System
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16K17227
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
横山 麻衣 立教大学, 社会学部, 助教 (60756089)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジェンダーベイスドバイオレンス / 非営利組織 / 質的比較分析(QCA) |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度に行った学会報告での質疑等を踏まえ、再度分析を行い、学会報告および論文執筆・投稿を行った。 ジェンダーベイスドバイオレンスの被害者支援に取り組む非営利組織活動の継続可能性に影響を与える要因について、質的比較分析(QCA)のうちの1手法であるcsQCAを用いて分析を行った。 結果概要を示そう。活動の継続可能年数については中央値が5.5年であり、数年の見通ししか持ちえないことが明らかとなった。そして、継続可能性を結果、組織規模、財源多様性、業種多様性、活動年数を条件とし、ブール最小化を行った結果、財源多様性が高く、業種多様性が高い条件組合せが、継続可能性の高さを生じさせる最も被覆度の高い項であることが明らかとなった。この部分集合は、組織の正味財産蓄積によるリスクマネジメントのみならず、利害関係者との関係構築の実現契機が高い、いわば「堅実・関係構築型」という特徴を表していると考えられる。 他方で、継続可能性の低さに関しては、スタッフ総数が多く、財源多様性が高く、業種多様性が低い条件組合せが、最も被覆度および整合性が高い項であった。この部分集合は例えば、財産を人件費ではなく被害者のためにあてがっているために、スタッフの多くがボランティアで、専業主婦といった特定の職業の者しか活動に携わることが難しい、いわば「奉仕型」の特徴を表していると推察しうる。 これら代表的な配置構成からは、非営利組織が政府の失敗を補完するにあたって、組織としての正統性や組織外部からのソーシャルサポートを獲得すべく組織を構成していく必要がある一方で、労働への対価は必ずしも支払われず、施設や物品もしばしば持ち出しとなるために、正味財産の形成が可能になるような場合のみ活動を継続しうるという、性暴力被害者支援をめぐる社会的機制を簡潔に表していると考えられる。
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Research Products
(3 results)