2017 Fiscal Year Research-status Report
学歴としての専門学校の効果とその「埋め込み」に関する計量社会学的研究
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16K17238
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
多喜 弘文 法政大学, 社会学部, 准教授 (20634033)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 専門学校 / 制度的埋め込み / 学歴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、専修学校専門課程(専門学校)が制度化された1976年以降に進学した可能性が高い1955年以降の出生コーホートを対象に、専門学校を加味した場合の学歴変数をどのように作成するかに関して検討をおこなった。そこでの焦点は、SSMデータなどで従来用いられてきた専門学校を学歴から外した学歴変数(SSM学歴)、通学経験のある学校の中から専門学校を含めて最も「高い」教育段階を学歴とみなす新SSM学歴(最高学歴)、専門学校を含めて最後に通った学校段階を学歴とする最終学歴の3種類の学歴変数を比較することであった。それら3種類の学歴変数を検討した結果、従来のSSM学歴を用いた場合、近年のコーホートでは高校学歴として扱われるケースの半分以上が専門学校通学経験者となってしまうことや、新SSM学歴と最終学歴のズレはさほど大きくないことなどが明らかにされた。また、男性と比べて女性では専門学校を学歴として採用するか否かが本人の地位達成を測る上で重要であることがあらためて示された。 また、濱中(2008)などの先行研究を参照しながら、SSM2005とSSM2015の合併データを用いて専門学校に関する入口と出口に関する検討をおこなった。中3時成績、父教育年数、父主職威信スコア、初職威信スコア、現職威信スコアに着目して専門学校学歴保持者の特徴を検討した結果、大学定員抑制期以降に専門学校のメリットが失われたとする研究や、高校との出身階層差が開いたとする研究の知見は、SSMデータで明確には確認できないことが明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
専門学校進学者の職歴や専門学校を加えた場合の学歴変数の作成方法とその背後にある考え方の整理など、専門学校の制度的埋め込みに関する実証的および概念的な検討は順調に進展している。ただし、専門学校に焦点をしぼった調査の実施は次年度に持ち越されることになり、予定よりもそのデータの分析を早く行う必要性は生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
専門学校進学経験者に焦点を絞ったインターネット調査の実施を今後早い段階でおこなう必要がある。すでに調査票の検討や調査会社のやり取りは終わっているため、適切な形で手続きを進めていきたい。
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Causes of Carryover |
専門学校進学経験者に対するウェブ調査の予算執行が次年度にずれ込んだことにより次年度使用額が生じてしまっている。ただし、実施準備はすでに終了しているため、執行金額の計画に変更はない。
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