2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K17239
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
安藤 丈将 武蔵大学, 社会学部, 准教授 (50434220)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 農 / 食 / 社会運動 / 民主主義 / 香港 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主に菜園村生活館、マポポコミュニティ農場、郷土学社など、非農家出身のいわゆる「新農夫」に対して、ライフヒストリーを交えながら、彼らが農に至るまでの運動の経験を尋ねてきた。この調査を通して、彼らの言葉から民主主義的な含意を読み取り、フードアクティヴィズムと民主化運動との関連性を探ることを目指している。 また、インタビューでは、農民の抵抗の言葉を明らかにすることに集中しがちであるので、農場に滞在し、彼らの農の実践そのものの参与観察にも力を入れた。その過程で、彼らが害虫や台風のような農業上の障害に直面した時、どう対応しているのかについても話をすることができた。困難に直面した時にどう対応するかは、パーマカルチャーという彼らが実践している農法の特徴を示すものなので、農場での参与観察の作業を通して貴重な知見を得ることができた。 さらに、特に菜園村生活館の顧客にも取材をすることができた。農民側の言葉だけでなく、顧客の言葉も付き合わせることで、食べ物をめぐる民主主義的な関係性の内実を明らかにすることを目指している。 香港のフードアクティヴィズムにおいては、農が単なる食べ物の生産活動を超え、様々な社会問題に取り組み、解決するための方法として位置づけられていることである。とりわけ、アクティヴィストたちは、香港における制度的な民主主義の欠落している状況において、より直接的な民主主義を実現する手段として農を捉えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は、勤務校にて特別研究員であったため、前年度より長く香港に滞在できた。現地の人びとの協力も得られたこともあり、取材は概ね順調であった。昨年の出遅れを取り戻すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、民主主義、とりわけ直接民主主義的な方法で政治表現している人びとを、農民だけでなく広く取材の対象に含めたい。2009-2010年の反高鐵運動における「苦行」と呼ばれる行動、さらに、最近の「勇武」と呼ばれる行動まで、それぞれの担い手に対して、彼らの民主主義観、香港アイデンティティ、中国観などについて尋ねていきたい。
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Causes of Carryover |
勤務校の特別研究員の海外渡航費を利用できたため、予定よりも航空券や宿泊代を節約できたため。特別研究員の期間が終了するため、今後は航空券や宿泊代として使用される予定(香港の物価は上がっており、宿泊費は特に高い)。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Protests and farming2018
Author(s)
Takemasa Ando
Organizer
The Culture and Sustainable Livelihood Cluster, KFCRD, Department of Cultural Studies, Global University for Sustainability, and Lingnan Gardeners
Invited
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