2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17239
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
安藤 丈将 武蔵大学, 社会学部, 教授 (50434220)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 農 / 食 / 香港 / 社会運動 / 民主主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、香港の新界地区にある菜園村生活館、及び関係する農園に関する研究を継続した。すでに過去の調査で返還後の民主化運動、特に高速鉄道反対運動の展開を追いながら、農が資本主義的開発とは異なる価値や信念とそれを実践する行為の様式を提供していることを明らかにしてきた。この理解をもとに、とりわけ今年度は、パーマカルチャーという農民たちの原則がいかにして社会運動と農を接続しているのかを考察した。そのために、パーマカルチャーに関する理論と実証研究の成果を整理した。香港の事例を理解するために、日本の農と社会運動に関する文献の調査も進めた。その過程で社会運動としての農や非暴力直接行動に関する研究成果も、著書や学会報告の形で発表できている。 また、2019年7月22-27日には菜園村生活館の周思中氏を招き、LURAの会(長野県伊那市)と自給農園ミルパ(千葉県成田市)の二つの農場にて討論会を行っている。長野では地元のグループのメンバーとの間で活発な意見交換もできて、パーマカルチャーや有機農業を志向する人びと同士の交流の機会になった。東京では、倉田徹・立教大学教授の科研と共催で周氏の講演会を開き、主に研究者と交流した。周氏の講演のテーマは香港の農の歴史についてであり、日本ではあまり研究されていない話を聞くことができた。このように、周氏の招待を通して、日本の市民や研究者にもプロジェクトの成果を共有することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現地で香港の農民に取材をする予定であったが、以下のような理由で必ずしもうまくいかなかった。まず、2019年6月ごろから逃亡犯条例反対運動の参加が広がり、警察の激しい取り締まりによって調査が困難になった。9月の取材訪問時も、逃亡犯条例反対運動およびその取り締まりに関連する理由で、取材がキャンセルになったり、取材に行けない場所があったりして大きく影響を受けた。その状態は年末まで続き、2020年3月に再度取材を試みようとしたところ、今度はコロナウイルスのために渡航自体がキャンセルになった。いずれも当初は予想しなかった事態であり、予定していた調査を行えなかったため、研究期間を延期することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、まず、香港のパーマカルチャーについての論文を完成させたい。そのためには、香港の農民に取材をすることで情報を加えたいが、コロナウイルスの問題で渡航できない状態が続くと思われる。現時点では先が読めないので、zoomなど、オンラインの取材も含めて対策を考えたい。
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Causes of Carryover |
2020年3月に予定していた香港出張がコロナウイルスの問題によってキャンセルとなったため。今後の使用計画に関しては、2020年度に香港への渡航旅費や研究資料(書籍など)として使用予定だが、渡航が難しい場合は、資料購入を増やしていく予定である。
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Research Products
(6 results)