2019 Fiscal Year Annual Research Report
On the return and job history of ex-international students
Project/Area Number |
16K17241
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
前田 豊 信州大学, 学術研究院人文科学系, 助教 (50637303)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 社会学 / 留学生 / 帰国 / 選択バイアス |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに,二値の従属変数に基づき抽出され,いずれかの従属変数の値が欠測しているデータからでも,全く従属変数が欠損しているが共変量が完備されているデータとの併用によって,Tang, Little and Raghunathan(2003)による推定法(TLR推定)などの疑似尤度関数を用いた方法から離散選択モデルの係数を推定できることが明らかとなっている.今年度は手法のさらなる応用可能性の拡張を企図とし,Respondent driven sampling(RDS)から収集されるデータに対応する推定法の開発を行った. RDSは回答者ネットワークを通じて回答者を抽出する一種の有意抽出の方法である.RDSによる抽出は,アクセスした回答者からの他の潜在的な回答者の紹介を通して行われるため,各回答者をつなぐネットワーク構造によって各回答者の抽出確率が異なりうる.しかし,RDSの標準的仮定(c.f. Volz and Heckathorn 2008)を満たす場合,十分な数の紹介ステップを経ることで,各回答者の抽出確率を回答者のネットワーク次数から求めることが可能となっている(Salganik and Heckathorn 2004).本研究では,このRDSにおける抽出確率とTLR推定を重みづけM-estimatorの形で組み合わせた新たな推定方程式を開発し,サンプルサイズ(紹介ステップ数)と,共変量の水準で可変的なネットワーク構造の2つの条件を加味したモンテカルロシミュレーションから,推定の精度を検討した.結果として,開発した推定方程式はサンプルサイズ(紹介ステップ数),および共変量で可変なネットワーク構造に対してロバストな推定量を与えることが明らかとなり,回答者ネットワークを通じた有意抽出であったとしても適切に推定できることを示唆する結果となった.
|