2019 Fiscal Year Research-status Report
生活困窮から社会的孤立に至る因果経路に関する実証研究
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16K17249
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
三谷 はるよ 龍谷大学, 社会学部, 講師 (60733326)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 孤独感 / サポート・ネットワーク / 全国郵送調査 / パネルデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、本研究課題の成果発表として、論文投稿を行った。具体的には、「育児期の孤独感を軽減するサポート・ネットワークとは」と題した論文を『家族社会学研究』に投稿し、第32巻第1号において掲載されることも決定した。この論文では、全国郵送調査の第1波(2006年実施)、第2波(2009年実施)の2時点パネルデータを用いて、私的・公的サポートの両方を含むどのようなサポート・ネットワークが育児期の男女の孤独感を軽減するのかを検討した。その結果、精神的・手段的に頼りになる夫や精神的に支えてくれる友人から成るサポート・ネットワークが、母親の孤独感を軽減する傾向が示された。また、精神的に支えてくれる妻やつどいの広場・育児サークルから成るサポート・ネットワークが、父親の孤独感を軽減する傾向も示された。 本研究課題(若手B)は、社会的孤立の因果経路を実証的に明らかにすることを目的とするものだが、上記の投稿論文によって、育児期の孤独感の形成メカニズムの一端を示すことができた。具体的には、孤独感に対するサポート・ネットワーク(サポートを与えてくれる、あるいはそれを期待できる社会関係)の在り方の影響の仕方が男女によって異なること、とりわけ母親にとっては友人が、父親にとっては公的な親子の交流の場が重要であることを示した点に意義がある。また、サポート・ネットワークや孤独感に関する先行研究の多くがクロスセクションデータに依拠しているのに対し、本論文はパネルデータを用いて個人内の変化を捉えることで、「いかに周囲のサポート環境が変わると孤独感が軽減するか」を明らかにしている点で、新たな貢献を果たすものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題によって得られた全国調査データを用いて分析・論文執筆を行い、学会誌に掲載されることが決定した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、全国調査データを用いたパネル分析を進め、その成果を論文・書籍等で成果報告していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(12,080円)は、当初想定していた調査費用予算と調査費用実額の差額である。これは、次年度において研究成果発信のために使用される。
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Research Products
(2 results)