2018 Fiscal Year Annual Research Report
Policy Making through regional employment governance: A case study of local labor market matching system in Denmark
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16K17258
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Research Institution | Kanazawa Seiryo University |
Principal Investigator |
神崎 淳子 金沢星稜大学, 経済学部, 講師 (00569353)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域雇用政策 / 地域労働市場 / 就労支援 / デンマーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では地域労働市場における関係諸主体のガバナンスに着目をし、研究を進めてきた。今年度は特に、補助金付雇用「フレックスジョブ」制度の拡大に対して参加諸主体の現状に対する認識と課題意識に焦点を当て、研究を行った。2013年にデンマークで実施された障害者制度改革により、フレックスジョブの適用対象者が拡大した。補助金付雇用が相対的に安価な労働力として認識されると、一般労働市場への賃金引き下げ圧力や雇用のパイの奪い合いになることなどが懸念される。昨年度までの調査により、労働行政の管理執行機関である「ジョブセンター」がフレックスジョブの運営に対して、就労実習や支援、職業能力の検証に時間をかけて行っていることがわかった。今年度もオーデンセ市を対象として、行政、フレックスジョブ就労者自身や労働組合、受け入れ企業にインタビュー調査を行った。現状では労使ともにフレックスジョブの労働者の受け入れが一般労働市場に環境悪化につながる実態や懸念はないとの見解がみられた。この背景として、運用と実施に係るガバナンス上の特徴を2点見出すことができる。第一に、管理機関である行政による厳密な制度運営がある。ここでの厳密さとは、本人の労働能力の見極めとそこから発生するフレックスジョブ労働者に対する補助金の支払い額の決定についてである。行政担当者とフレックスジョブ就業者がフレックスジョブ賃金と労働時間の決定過程に参加し、仕事能力に対する自己認知と他者評価の調整が出来ている。また、労働量と賃金の妥当性があることが、健全な運用を支えている。第二に、就業阻害要因を持つ人が労働を通じた社会参加を実現するという理念が諸主体間で共有されている。行政がトライアル制度の実施や不適切な事例への対処などを行っている。これにより、フレックスジョブ制度の不適切な労働に対して、フレックスジョブの参加者自身も権利を主張することもできる。
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Research Products
(5 results)