2016 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャル・キャピタルと公共交通の住民参加に関する理論・実証分析
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16K17259
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小熊 仁 金沢大学, 地域政策研究センター, 助教 (00634312)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ソーシャル・キャピタル / 公共交通 / 住民参加 / マルチレベルモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はソーシャル・キャピタルと公共交通の住民参加との関係を明らかにするため、文献研究を通し、地域公共交通全般における住民参加型交通の役割や実証分析における分析手法を把握した。そして、地域調査として青森県鰺ヶ沢町弘南バス深谷線沿線の8地区(富根町・浜町・本町・赤石町・姥袋町・館前町・南金沢町・深谷町)、1,303名を対象にアンケート調査を実施し、ソーシャル・キャピタル指標の測定と計画・運営への参加意識、参加の有無等の関係および要因をめぐるミクロレベル、マクロレベルでの実証分析を試みた。 当初の予定では住民参加において主導的役割を果たした深谷町のみを対象地域とし、アンケートの対象も個人ではなく世帯を対象にサンプルを取得する予定であったが、鰺ヶ沢町の協力により、個人を対象に、しかも深谷線沿線全地区を対象とした調査を行うことができた。そのため、アンケートを追加的に増刷する必要が生じ、当初の予算を前倒しし、サンプルの回収につとめた。集約されたサンプルは430枚で必要枚数(318枚)を大幅に上回る結果となった。 ところで、本研究は住民参加型交通をめぐる国際比較も対象に含めていることから、本年度8月~9月にドイツ・ブランデンブルグ州を対象にNPOおよび住民代表に対するヒアリング調査を行った。また、翌年度の第2次地域調査(青森県弘前市)に向け、アンケート質問票の作成と実務担当者との交渉も行った。アンケート質問票の作成が早期に終了したため、昨年度中にアンケートを配付する予定であったが、調整が間に合わなかったため、当初の予定通り翌年度に回し、調査を実施することにした。 なお、文献研究では公共交通分野のほかに地域づくりや観光分野の文献も参照した。分野は異なるが、文献研究を通し1つのレビューが整理できたので、この部分については学会で報告を行い、別途レビュー論文としてとりまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、文献研究、地域調査、海外調査をバランスよく行うことができた。 とくに、地域調査ではバス路線沿線の特定の地区を対象とした世帯調査ではなく、沿線全体の個人を対象にしたソーシャル・キャピタル指標の計測を行うことができたため、分析結果の信頼性や頑健性を高める上でも非常に有効なデータを得ることができた。さらに、翌年度および翌々年度のアンケート調査の基礎は仕上がっており、残りは地域との調整を残すのみである。今年度の地域調査の結果についても現在、現地での報告会や学会報告に向け資料の作成に取りかかっているところであり、翌年度中には発表を行える予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は初年度に引き続き、地域公共交通の現状把握、および理論・実証分析のための文献レビューを実施し、第2次地域調査(青森県弘前市)、第3次地域調査(北海道函館市)を随時すすめていく予定である。調査成果は速やかに整理し、直ちに学会報告・投稿論文執筆の準備に入る。 なお、第2次および第3次地域調査をすすめるにあたっては、現地との調整が必要不可欠なため、調整次第によっては対象地域を変更することもあり得る。その際は研究協力者等と相談の上、対応策を検討することにしたい。
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Research Products
(1 results)