2018 Fiscal Year Annual Research Report
The study of role sharing between public and private on elderly care
Project/Area Number |
16K17260
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井口 克郎 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (10572480)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 介護 / 公私役割分担 / 地域包括ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年の本年度は、主に韓国における介護保障政策の動向に関する調査、考察と、これまでの調査等に基づいて研究報告、論文の執筆と掲載に取り組んだ。 韓国は、日本やドイツの先例を基に、保険制度に基づく介護保障制度、老人長期療養保険制度を導入した。また、日本とは異なり、家族介護者が療養保護士の資格を取り在宅における介護を行う制度も存在し、ケアにおける公私役割分担は日本とやや異なる展開を見せている。近年、文政権の下で、日本とは異なり次第に介護の非営利化政策への転換が行われている。また、筆者が行ったヒアリングによると、日本の地域包括ケアシステムにならったコミュニティケアの導入が現在韓国でも議論されており、その内容について整理を行った。 また、これまでの研究に基づき、主に以下の論文の投稿と掲載が実現した。第1は、井口克郎「介護労働者におけるディーセント・ワークの実現をめぐる現状と課題」(『国民医療』No.339、公益財団法人日本医療総合研究所、2018年、47~65ページ)である。「自助」「互助」といった私的セクターが疲弊する中で、介護保障を実現するためには、専門職の労働者による介護保険サービスの供給量をいかに増やすかが本来追求されなければならない課題であるが、現在の日本においては、介保険サービスを担う介護労働者の人材不足も深刻である。その現状について分析し、改善のための課題を提起した。 第2は、井口克郎・森山治「社会保障抑制政策下における在宅介護者支援制度の形成に対する視座─フィンランドの親族介護支援制度の動向を参考に─」(『医療福祉政策研究』 No.2、日本医療福祉政策学会編、2019年、65~86ページ)である。日本の介護人材政策のあり方への示唆を得るために、フィンランドにおける介護の公私役割分担の在り方を考察した。
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