2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study about Comprehensive Job Assistance for the Poor in the United States
Project/Area Number |
16K17263
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
久本 貴志 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (90452705)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 就労支援 / 就労困難層 / 就労阻害要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度のニューヨーク市の分析をまとめて,社会政策学会九州部会第103回研究会で報告した。 別の事例としてワシントン州に焦点を当てて,Urban InstituteやWashington State budget & Policy Centerのレポートを用いて就労困難層への就労支援を分析した。就労を阻害する要因として代表的なものは,薬物濫用,慢性疾患,精神疾患等である。長期受給者や断続的に受給を繰り返す者にそうした阻害要因を持つ傾向がある。2010年度にワシントン州のWorkFirstプログラムに関わる部局がプログラムの分析を行ったが,その分析で,すぐにWorkFirstプログラムから脱却する受給者と就労阻害要因を持つ受給者とが把握された。前者はプログラム離脱後に安定した賃金の上昇があったが,後者は上述のような阻害要因を抱えているために,離脱まで時間がかかったり,受給を断続的に繰り返したり,受給が長期化していた。後者については,早期のアセスメントおよび個別化した支援が必要とされ,検討結果を反映させた支援がなされているようである。しかし,同時に,ワシントン州は財政上の制約からWorkFirstプログラムの予算を削減し,受給者に対する厳しい制度変更を行った。制度の改正により,WorkFirstプログラムを離脱した者の中には,ホームレス状態の者がいたり,就労阻害要因を抱えた者が多く含まれることが明らかになっている。 他の業務との関係で,現地調査を行えなかったので,本年度の分析結果を基にインタビュー調査の質問内容等を整理して,今後,ワシントン州での現地調査を行い,その上で論文を公表していきたい。
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