2016 Fiscal Year Research-status Report
超高齢社会における高齢者の居場所づくり―地域包括ケアシステム確立に向けて―
Project/Area Number |
16K17271
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
福田 菜々 北海道科学大学, 工学部, 講師 (70554731)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域包括ケアシステム / 高齢者福祉 / 社会学 / 地域福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、地域包括ケアシステムの確立が求められているが、このようなシステムにどのようにたどり着くかのプロセスは不明瞭である。一方、高齢者の孤立化を防止し、住み慣れた地域で自立した生活を続けるため、近隣で気軽に立ち寄ることができ、他者との交流や活動に参加できる高齢者の居場所づくりが各地で盛んに行われている。本研究では、人口、規模、財政、特性、資源といった条件が異なる各自治体において、それぞれの実情に見合った高齢者のための居場所づくりや地域包括ケアシステムを確立するためのプロセスを明らかにすることが目的である。 平成28年度には、研究対象である東京都武蔵野市のテンミリオンハウス(7施設)を全て訪れ、各施設の運営団体に対し運営状況についてヒアリングを行った。テンミリオンハウスは、7施設中6施設が自力で通えることができる高齢者を対象に、絵手紙、編み物、健康体操などといった様々なプログラムを提供し、地域に住む高齢者の居場所として位置付けられている。武蔵野市が各運営団体に対し、毎年1千万円の助成をしていることが名前の由来である。また、運営団体の多くは同じ地域に住む有志市民によって構成させれており、地域の高齢者を地域内でケアするという仕組みが確立されつつある。 7施設全てのテンミリオンハウスを視察した結果、1施設は要介護2以上の高齢者を対象にサービスを実施していることから、その他の6施設における利用者に対し、利用状況及び主観的幸福感、QOLなどのアンケート調査を実施した。 また、テンミリオンハウス設立のモデルとなった、イギリスのパッチシステムについて、現地の状況を確認するため、ロンドンのウェストミンスター市にあるOpen Age UK,オックスフォード周辺にある公営福祉センター、及びボランティア団体などによる高齢者の活動拠点を訪問し、現地の高齢者の活動状況を視察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の計画として予定していたテンミリオンハウスにおける運営団体へのヒアリング調査、及び利用者へのアンケート調査についても滞りなく実施することができた。 また、海外事例としてテンミリオンハウスのモデルとなったパッチシステムを取り入れたイギリスへの視察調査についても、実施することができ、今後日本と両者の相違点を分析することができると考えられる。 高齢者の居場所づくりに空き家を利用した事例が増加しているが、28年度の実施計画の一つして空き家の調査を掲げたが、この点については調査が不十分ではあるが、研究全体としてはおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は在外研修期間であり、当初予定していた網走市内における高齢者ふれあいの家事業について調査することが困難であるため、代わりに滞在中のアメリカにおける高齢者の居場所づくりについて事例を調査する予定である。 社会の高齢化問題は全世界的に生じていることであり、特に車社会のアメリカにおいては、車を運転できなくなった時点から、高齢者の孤立化が生じると考えられる。このような状況で、政府や自治体がどのような対策を立て、高齢者の居場所を提供しているのか、現地を調査する。また、カリフォルニア州には52歳以上の人のみが生活できる地域として、Laguna Woodsが市と制定されておよそ20年近くになるが、高齢者にとって快適な生活環境を取り入れた都市計画とはどのようなものか、また、現在の住民の暮らし方を調査する予定である。
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