2022 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative Study on Social and Environmental Factors affecting the well-being of adults with Autism Spectrum Disorders
Project/Area Number |
16K17287
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
鈴木 さとみ 大正大学, カウンセリング研究所, 研究員 (00648561)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / QOL / 新型コロナウィルス / Well-being |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は自閉スペクトラム症(以下ASD)のある成人のウェルビーイングに,社会的環境的要因がどのような影響を及ぼしているかについて定量的研究を用いて明らかにすることを目的としている。 前年度までの縦断研究では、新型コロナウィルス(COVID-19)の流行前後における、自閉スペクトラム症(ASD)の成人45名と一般成人33名の生活機能と健康関連QOL(HRQOL)の変化について質問紙を用いて比較を行った。ASDのある成人のQOLは慢性的に標準値より低くCOVID-19前後でHRQOLに有意差はなかったが、一般成人では対人関係の有意な低下とHRQORの有意に低下が認められた。ASDのある成人のHRQOLには感覚過敏が影響すること、一般成人と比べて社会の規範や価値観が自身にとって肯定的ではないと感じていることも分かった。 最終年度は横断研究を行った。Personal Well-being Index for Adults(PWI-A:個人的幸福度)を原著者の協力のもとバックトランスレーションを行い日本語に翻訳しオンライン調査を実施、回答に不備のなかった一般成人1,277名、ASDの成人288名について分析を行った。一般成人の個人的幸福度は他国の平均値と比べて低く、ASDのある成人は日本人平均よりも有意に低かった。個人的幸福度については、日本の一般成人の平均値はオーストラリアの報告(2012)と比して有意に低く、ASDのある成人については、さらにその日本人平均値よりも有意に低かった。また、現在の個人の所得や過去の保護者の養育態度や学校の居心地が成人後の幸福度に影響していることも分かった。 本研究を通じてASDのある成人のQOLと個人的幸福度、及びそれらに関連する要因が明らかになった。
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