2017 Fiscal Year Annual Research Report
Extension of the emotional and physical selves into a medium: An investigative and experimental examination
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16K17289
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤 桂 筑波大学, 人間系, 准教授 (50581584)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インターネット / ソーシャルメディア / ヴァーチャル・リアリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,ヴァーチャル・リアリティ機器を用いた実験を行い,ヘッドマウントディスプレイ機器装着後の情報処理の変化について測定し,メディア上への「身体感覚の拡張」がもたらす影響に関する検討を進めた。詳細には,第一に,3Dゲーム上に構築された仮想空間内を移動する体験によって,利用者の認知処理(特に,思考の独創性や柔軟性)に対して,どのような影響が生じるかについて,前年度の実験からさらにデータを収集し,得られた結果が再度確認されるかについて検証した。第二に,同様の仮想空間内において,自身の動きと視点の移動が同期するという体験を十分に重ねたうえで,温感をもたらす仮想刺激の提示前後で身体温度がどのように変化するか,および,対人的評価においてどのような差が生じるかについて検討した。 これらの結果と,前年度に得られた結果を踏まえ,従来であれば現実生活の場に限定されていた感情体験の表出と相互共有,および身体動作・身体感覚の感受が,各種メディア上で展開されるようになったことにより,どのような影響が生じるかについての可能性に関する知見を提供した。具体的には,第一に,人がどのようにストレスフルな経験やネガティブ感情から立ち直ることができるのか,そして,そのプロセスに対して情報技術およびメディアの発展がどのように寄与し得るかについての知見を提供した。第二に,従来より議論されてきた「若年層へのゲーム・メディアの影響」や「ゲーム・メディアへの依存」に関し,身体感覚と認知情報処理のインタラクションという視点も交えながら,それらが生じるメカニズムについて新たな知見を提供した。
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