2018 Fiscal Year Annual Research Report
The Psychological Influence of Root-Tourism as a Temporary Homecoming for Descendants of Immigrants
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16K17296
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
前村 奈央佳 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (50632238)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 移民 / ルーツ観光 / 沖縄 / アイデンティティ / 異文化間接触 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ルーツ観光の事例として、H28年に沖縄県で開催された「第6回世界のウチナーンチュ大会」期間およびその前後に質的調査(面接調査)・量的調査(質問紙調査)でデータ採取をした。面接調査は複数の調査員による比較的簡易な聞き取り調査と、調査協力者のライフストーリーを詳細に聞き取る調査の2本立てで実施した。H30年度は、質的データの分析を中心に行った。
簡易版の聞き取り調査(沖縄系移民80名(男性32名, 女性48名, 平均年齢54.33, SD=18.77))を内容分析した結果、ホスト国-沖縄を比較する基準は「1. 人の性質」「2. 文化(習慣・服装・食べ物など)」「3. 気候風土」「4. 都市機能(交通・街並み)」「5. 多様性(文化・人種)」「6. 平和・治安」「7. 歴史」の7種のカテゴリに分類された。これらについて世代ごとの特徴をみると、1世で沖縄-ホスト国の「気候風土」の違いについての回答割合が高い一方で、3世4世では沖縄とホスト国の文化の相違についての言及が増える傾向がみられた。
また、北米・中南米出身の沖縄系移民3世・4世11名に対する詳細な聞き取り調査の結果、ルーツ観光によるルーツ地(本研究では、沖縄)のイメージ変化のパターンとして、<イメージ・情報無>→<ポジティブ>、<昔の沖縄>→<発展した都市>、<パラダイス>→<ネガティブ>/<発展した都市>がみられることが明らかになった。移民の子孫世代、特に3世以降になると、ルーツ地のイメージが祖父母からの伝聞情報に頼ることが多い。そのため、「伝統的」「田舎っぽい」「夢のような」などと単純化され美化されやすく、実際に訪れて理想と現実の差を認識する傾向がみられた。その他、沖縄-ホスト国のコミュニケーション様式の違いを認識することにより、ホスト国のアイデンティティが強化されるケースがみられることなども示された。
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Research Products
(2 results)