死生観と自己内省神経基盤との関連性；自殺・引きこもりのカウンセリング応用に向けて

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K17301
• Research Institution: Hiroshima University
• Principal Investigator: 原田 宗子 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 特任助教 (30414022)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: 自己内省 / 死生観 / 内面的特性

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、近年社会問題となっている若者の自殺増加や引きこもりなどの原因解明の手掛かりを見つけることを目指す。これまでの研究では社会的要因や個人の社会への行動特性などから原因を解明する試みが主であったが、本研究では磁気共鳴画像法(MRI)を用いて死に対する態度や自己への没入傾向などの個々人の内面的特性と自己内省に関連する神経基盤との「機能的」関係性を明らかにすること、及び個々人の内面的特性と脳灰白質体積や繊維連絡密度との「脳構造的」関連性を明らかにすること、を目的とする。
本研究では、死に対する態度や自己没入傾向、不安特性、ストレスへの対処傾向などの内面的特性と自己内省に関連する神経基盤との関係性を明らかにするために、質問紙法を用いた行動学的実験及び自己内省誘発課題(Christoff et al., 2009を改変)遂行中の脳活動を測定する機能的磁気共鳴画像法(MRI)を用いた心理生理学的実験をを行うことで、個々人の内面的特性と自己内省に関連する脳領域の活動の程度との「機能的」関係性を調べることが重要な目的の一つであるが、(1)適切な質問紙を用いること、(2)自己内省誘発課題において自然で自発的な種々の内省が生じること、の2点が鍵となっており、平成28年度には実験課題を検討の結果、用いる質問紙及び自己内省誘発課題の修正を行った。平成29年度は平成28年度に修正した実験課題を用いて大学生の実験参加者20名程度を対象とした行動学的実験を行い、個々人の内面的特性と自己内省誘発課題遂行中に生じた内省の種類との関連性を検討した。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究では、死に対する態度や自己没入傾向などの個々人の内面的特性と自己内省に関連する神経基盤との関係性を明らかにするために、質問紙法を用いた行動学的実験及び自己内省誘発課題(Christoff et al., 2009を改変)遂行中の脳活動を測定する機能的磁気共鳴画像法(MRI)を用いた心理生理学的実験をを行うことで、個々人の内面的特性と自己内省に関連する脳領域の活動の程度との「機能的」関係性を調べることが重要な目的の一つであるが、(1)適切な質問紙を用いること、(2)自己内省誘発課題において自然で自発的な種々の内省が生じること、の2点が鍵となっており、平成28年度には実験課題を検討の結果、用いる質問紙及び自己内省誘発課題の修正を行った為、予定していた行動学的実験を平成29年度に行うように計画を変更した。
平成29年度は平成28年度に修正した実験課題を用いて大学生の実験参加者20名程度を対象とした行動学的実験を行い、個々人の内面的特性と自己内省誘発課題遂行中に生じた内省の種類との関連性を検討したが、当初平成29年度に予定していた機能的磁気共鳴画像法(MRI)を用いた心理生理学的実験は平成30年度に行うように計画を変更する必要性が生じた。

Strategy for Future Research Activity

平成29年度は、平成28年度に修正した実験課題を用いて大学生の実験参加者を対象とした機能的磁気共鳴画像法(MRI)を用いた心理生理学的実験までを行う予定であったが、平成28年度の研究の進捗の遅れから実験計画全体がやや遅れ気味である。平成30年度は質問紙法を用いた個々人の内面的特性の調査、自己内省誘発課題遂行中の脳活動を測定する機能的磁気共鳴画像法(MRI)を用いた心理生理学的実験と同時に、脳灰白質体積、繊維連絡密度を反映する磁気共鳴画像を同じ実験内で取得し、(1)個々人の内面的特性と自己内省誘発課題遂行中の脳活動との「機能的」関係性を明らかにすること、(2)個々人の内面的特性と磁気共鳴画像から計算した脳灰白質体積、繊維連絡密度との「脳構造的」関係性を明らかにすること、を予定している。又、実験遂行と並行して効率的にデータ解析を進めることで、計画の遅れを取り戻す予定である。

Causes of Carryover

(理由)
平成29年度は、平成28年度の実験課題などの修正の必要性から実験計画全体がやや遅れ気味のまま研究が進んでいる状況であり、磁気共鳴画像法を用いた心理生理学的実験の際に実験参加者への謝金に当てる予定であった人件費・謝金が一部未使用のままとなった。また、予定していた成果発表の為の学会参加に当てる予定であった旅費、及び論文投稿費用などに当てる予定であったその他の費用も一部未使用のままとなった。以上の理由により、平成29年度は当初予定していた金額より大幅に平成30年度への次年度使用額が生じた。
(使用計画)
平成30年度は、(1)個々人の内面的特性と自己内省誘発課題中の脳活動との「機能的」関連性を明らかにする、(2)個々人の内面的特性と磁気共鳴画像から計算した脳灰白質体積、繊維連絡密度との「脳機能的」関連性を明らかにする、ための実験を行う予定である。その為、平成29年度に未使用のままとなった実験参加者に当てる予定であった人件費・謝金、成果発表の為の学会参加に当てる予定であった旅費などを平成30年度に使用予定である。