2016 Fiscal Year Research-status Report
暴力的集団間紛争経験者による集団間接触の融和効果検証
Project/Area Number |
16K17303
|
Research Institution | Japan International Cooperation Agency (Research Institute) |
Principal Investigator |
大貫 真友子 独立行政法人国際協力機構(研究所), 研究所, 研究員 (60771912)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 民族融和 / 集団間葛藤 / 集団間接触 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はルワンダの障害者と元戦闘員障害者を対象としたJICAの職業訓練プロジェクトのインパクト評価に基づき、民族間接触介入を行い、差別に纏わる認知、態度、行動を社会心理学の手法で測定し因果関係を明らかにすることである。 平成28年度の事前準備においては、このJICAプロジェクトのインパクト評価調査実施をサポートし、融和に関連する部分の解析を行った。学会発表等をおこない、暫定結果に基づいて意見交換を行った。JICA内でもプロジェクト担当の専門家と結果を共有して、議論している。特に興味深い結果としては、直接的に外集団への信頼度を聞く手法の質問紙調査においては、プロジェクトによる効果が見られず、さらに内集団ひいき自体の傾向が見られなかった。一方、List Experimentという手法で差別を測った場合(被験者には質問の意図が分からない手法)、効果がみられた。特に元政府軍(フツ族)に対する差別がJICAのプロジェクトにより減っているという結果もが見られた。これは、ルワンダのガバナンスや社会歴史的背景を踏まえて考察すると、興味深い研究結果である。 このインパクト評価において、一部取り損ねた指標があったり、追跡漏れがあった為、追加の調査が発生した。この追加調査の実施サポートをする上で、現地コンサルタントとやり取りをすることが何度かあったので、本研究の調査アイディア等の概要を前広に共有した。ルワンダの倫理審査の観点からアドバイスをいただき、一部本研究の調査内容を変更する必要性を吟味中。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の予定では、本研究の最終的な実験デザインを決めるにあたって必要となる、インパクト評価は2016年4月に終了する予定だった。しかし、倫理審査の結果待ちや、現地コンサルタントとの調整上、インパクト評価実施が大幅に遅れた。さらに、集めたデータの確認を行ったら、取り損ねた指標や追跡漏れしている元戦闘員のデータが多々あったので(元戦闘員は職を求めて移動したり、移動に伴って携帯番号が変わることが多いので、追跡が難しい)、追加調査を行うことになった。結果として、追加調査も含めて、このインパクト評価が終了したのは、2017年3月であった。4月はルワンダのジェノサイドウィークがあり、調査を行うには不向きであり、現在5月において、ようやく最終的な追跡調査全体のデータ確認作業ができるようになった。こういった事情から、本実験の前準備が遅れているため、全体的に約一年ほど研究の進捗が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
【2018年度】 1.この2017年3月に終了したデータの解析。実験デザインを決める。2.2017年7月JICAの平和構築専門員小向絵里氏に同行して、JICAルワンダ事務所に研究説明を行ったり、研究実施を踏まえて、現地の関係者と顔合わせを行う。コンサルタントともアポを取って、今後のプロセスについて打ち合わせを行う。3.ルワンダの倫理審査申請における代表者(ルワンダ在住である必要がある)を誰にお願いするか、7月の視察を踏まえて検討する。おそらく以前のとおり、コンサルタントとJICAのルワンダ事務所にお願いする予定である。 4.ルワンダ・ピアス大学の佐々木和之教授(ルワンダに10年以上住み、平和構築のNGO活動を行っている)に研究内容を相談する。5.JICA研究所内での研究案件設立を行う。
【2019年】 2018年の準備を踏まえて本実験実施に入る予定。
|
Causes of Carryover |
当初2016年4月に終了予定であったインパクト評価の調査が1年近く遅れたため。 このインパクト評価が終わらないと、最終的な研究計画が決まらないうえ、現地のコンサルタントがインパクト評価の調査で手一杯だったので、やむ終えなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の科研費使用計画は、時期が1年遅れで、その他使用項目等は予定通り。現地の予備調査と本調査で2回に分けてルワンダに渡航する。
|
Research Products
(1 results)