2019 Fiscal Year Annual Research Report
Basic research on self-esteem measurement using Item Response Theory
Project/Area Number |
16K17308
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
並川 努 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (10613721)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自尊感情 / Item Response Theory / 心理尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
自尊感情(Self-esteem)は,パーソナリティ心理学の研究をはじめとした多くの研究に用いられる概念である。その測定は,心理尺度を用いて行われることが多いが,本研究はその心理尺度を用いた測定に注目をし,自尊感情尺度を用いた研究における諸課題について検討を行うことを目的とした。 本研究ではこれまでに,まず自尊感情尺度の近年の使用状況を整理し,多様な形で自尊感情尺度が使用されている状況を改めて示し,測定上の課題を整理した。また,日本における課題としてRosenberg自尊感情尺度の翻訳の違いによって生じる項目の測定機能の差異を検討し,主要な翻訳版でも特徴が異なることを示した。 これらを踏まえ,最終年度では,回答者の発達段階によって自尊感情尺度の測定機能に差が生じるかについて検討を行った。山本・松井・山成(1982)の訳を用いて,10項目4件法の形でウェブを用いた調査を行い,20~29歳,40~49歳,60~69歳の3つの世代で比較を行った。自尊感情得点の平均値の比較については,多くの先行研究と同様に年齢が上がるにしたがって高くなることが示唆されたが,個々の項目の測定機能については,世代によって特異項目機能(Differential Item Functioning)等は見られなかった。 期間全体の研究を通じて得られたこれらの知見は,対象としたRosenberg自尊感情尺度に限らず,他の尺度を用いた研究や,今後の新規の尺度開発においても,一定の寄与ができるものと考えられる。
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