2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K17309
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鈴木 俊太郎 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (10548233)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | EFBT / ブリーフセラピー / 心理教育 / いじめ / 予防的援助 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、先行研究の文献レビューとEmotion-focused brief therapy(以下、EFBT)をいじめ問題に利用もしくは応用したケースのデータ収集、さらにEFBTの臨床効果を測定するための効果測定研究を中心に実施した。 文献レビューでは日本国内で刊行されている雑誌論文を中心にいじめ研究に関するメタ分析を実施したところ、数多くのいじめ被害者に関する援助研究が見出された。いじめ被害者への支援は数多く見られる一方、加害者へのアプローチ、予防的アプローチは数が少ない。とくにいじめを主題とした心理教育のような研究はまだ萌芽段階にあることが明らかとなった。 EFBTをいじめに援用したケースについては、EFBT自体が本邦における新しい手法であることから、まだ十分な数を収集できていない。代表者と同じ学会に所属するメンバーと、共同研究を行っている研究者の協力を仰ぎつつ、大学の相談室を中心に研究データを収集しているが、予定の半分程度の事例が収集している現状にある。ただし、残りの半分も現在進行中のケースがほとんどであり、それほど深刻な研究の遅滞ではない。平成29年度にわたって、この点は継続的に収拾を図りたい。 EFBTの効果測定については、すでに平成28年度中にある程度の実績が得られた。臨床上有効性を示す複数の指標において、EFBT実施群が統制群と比較し、短期間での有意な向上が見られている。この点について研究をまとめ、すでに平成28年度中に開催された国際心理学会(ICP2016@横浜)にて発表を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、①先行研究の文献レビュー、②EFBTをいじめ問題に利用もしくは応用したケースのデータ収集、③EFBTの臨床効果を測定するための効果測定研究、以上3点を中心に研究を進める予定であった。 このうち、①、③については完全に研究が完了し、②についてのみ平成29年度初頭に継続課題として実施をすることとなっている(本報告書提出時にはおおむね完了の見込み)。この進捗状況を踏まえ、おおむね順調という評価である。 平成29年度予定している計画に大きな影響を与えていないという点も踏まえ、大きな問題は現状生じていない。
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Strategy for Future Research Activity |
早急に平成28年度の積み残し課題であるEFBTをいじめ問題に利用もしくは応用したケースのデータ収集を終了させ、直ちに平成29年度計画に移行する。 平成29年度は、①「いじめ防止のための心のワクチンプログラム(小学生版)」の開発、②教師版こころのワクチンプログラムの開発、以上2つを軸に研究を進める。 ①については前年度の研究成果に基づき、小学生へのいじめ予防に効果的とされる「認知的複雑性」の向上、「ポジティビティ」の向上、以上2点をターゲットとした心理教育プログラムを開発していく。このプログラムにはEFBT、CBTモデルを組み込んで、いくつかのエクセサイズを開発する。大学生などを対象としたパイロットスタディを平成29年度前半までに行い、この成果をもとに年度後半、協力校である複数の学校で小学生向けにプログラムを実施し、フィードバックを元に改善を図る。この作業を平成30年度まで継続し、年度をまたいでプログラムの完成を試みる。 ②についても同様に、上記2点の変数プラス「いじめ対応自己効力感」をターゲット変数としながら、これらの向上を促す心理教育プログラムを開発する。①と同時進行でパイロットスタディ、実際の教職員研修会での実施などを経て、平成30年度末での完成を目指す。 研究は同時に遂行されるが、万一遅れが生じるような場合は、①を優先して実施する。協力が得られている学校がすでにあり、児童との関係性づくりも済んでいるため、よりデータの得やすい大人対象の研究を後に回しつつ、データ収集の難しい小学生から研究を実施する予定である。また、マンパワーの不足が生じた場合、研究を補助する学生アルバイト等の雇用をもって対応する予定である。
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Research Products
(1 results)