2016 Fiscal Year Research-status Report
一斉授業における大学生の能動的学習を促す教授法の開発とその実践研究
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16K17314
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
佐藤 誠子 石巻専修大学, 人間学部, 助教 (20633655)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 能動的学習 / 思考過程 / 質問生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,一斉授業を前提に大学生の能動的学習を促進する教授法を開発し,その効果について実践的に検討するものである。その際,学習者の思考過程という認知的側面を取り入れ,学習者の能動的学習を促す教授学習条件について明らかにすることを目的とする。これらの研究目的を達成するため,平成28年度においては,a) 教えられた知識の適用に関わる学習者要因について,また,b) 大学生のもつ心理学の素朴概念の実態について検討した。加えて,c) 次年度の心理学の授業研究に向け,少人数の学習心理学の授業を対象に予備実験をおこなった。 a) に関して,教えられた知識の適用に関わる学習者要因について明らかにすべく,大学生を対象に質問紙による教授実験をおこなった。その結果,事後課題において一貫して適切な知識を適用できていた学習者の多くは,事前課題の段階において誤った知識とはいえそれをもとに一貫性のある推論をおこなっていたこと,また,学習過程においては教えられた法則的知識をもとにして質問を生成していたことが明らかになった。このことから,能動的学習には,学習者が教えられた知識をもとに思考操作をおこなえることが必要条件になることが示唆された(佐藤・永山,2016)。 b) に関して,本研究課題は大学での心理学の学習を想定していることから,次年度の授業研究に向けて,学習者がもつ心理学の素朴概念の実態について明らかにすべく,大学生を対象にアンケート調査をおこなった。その結果,心理学は人の心を読むものであるとする考えが最も多くみられた。このことから,心理学においても素朴概念を考慮した授業をおこなう必要性が明らかになるとともに,そうした授業において素朴概念の否定から生じる学習者の疑問とその解決に向けた援助のあり方が検討された(佐藤,2017)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
能動的学習に関連する学習者要因の検討に加えて,次年度の授業研究に向けて少人数の授業を対象とした予備実験が実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の成果を踏まえ,大学での心理学の授業を対象に実際に授業研究を実施する。同時に,課題解決における知識の適用と学習時における学習者の質問生成との関連についても検討を進める。また,European Psychology Learning and Teaching Conferenceに参加し,心理学の教授学習研究,アクティブ・ラーニングの国際的動向およびその成立条件に関する心理学的研究について情報収集をおこなう予定である。
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Causes of Carryover |
予備実験において既存機器をデモ機として使用できたため。また年度明けすぐに翻訳・校閲代として経費執行する必要があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会発表に伴う翻訳・校閲代および参加費用に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)