2017 Fiscal Year Research-status Report
両価的な対人関係の影響下における夫婦ストレスモデルの構築
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16K17315
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Research Institution | Ibaraki Christian University |
Principal Investigator |
黒澤 泰 茨城キリスト教大学, 生活科学部, 講師 (00723694)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 夫婦 / ストレス / MSQ-J / 関係内ストレッサー / 関係外ストレッサー / 結婚満足度 / 精神的健康 / 親密な関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、両価的な対人関係のネガティブな側面を測定する尺度を作成するため、原著者の許諾の元、日本語版夫婦用多側面ストレス尺度(MSQ-J)を作成した。調査会社を通した短期縦断形式のオンライン調査を行い、600人の既婚者(夫300人、妻300人)のデータを得た。分析の結果、MSQ-Jは、先行研究と同様の二因子構造(関係内ストレッサーと関係外ストレッサー)を示した。また、一月後の再検査の結果から、MSQ-Jの得点は安定していることが明らかとなった。関係内ストレッサーは、高い情緒不安定性、低い結婚満足度、低い精神的健康度との関連を示した。また、関係内ストレッサーは、夫婦内における不適応なライフイベント(関係内における浮気・不倫)経験を予測していた。一方、関係外ストレッサーは、夫と妻で異なる構造を示し、また、先行研究の知見とも一致しなかった。このことは、夫婦を取り巻く環境は、それぞれが置かれた状況に左右されるものであること、及び、関係外ストレッサーを検討するにあたり、それぞれが置かれた”文脈”を考慮する必要性を示しているものといえよう。さらに、社会経済的要因からMSQ-Jの特徴を明らかにする分析を行った結果、子どもの存在がMSQ-Jの得点を高めることが明らかになった。次年度の調査では、当該年度に作成したMSQ-Jを用い、夫婦ペアデータを収集することで、親密な関係内/親密な関係外の視点から夫婦が経験しているストレスプロセスを明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
質問項目の選定や不正回答の予防などの項目を盛り込んだため、当初の予定よりもオンライン調査に関する費用がかかった。そのため、当該年度に予定していた調査は、次年度に実施することとした。一方、該当年度に行った調査内容は、日本心理学会、日本発達心理学会、アメリカ心理学会など国内外の学会にて発表を行い(行う予定にあり)、現在、投稿に向けた最終段階にあるため、現在までの進捗状況を(3)やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の調査では、該当年度に作成したMSQ-J、ストレスコーピング、そして、アウトカム変数を用い、夫婦ペアデータを元に、さらなる検討を加え、現実に即した形で夫婦が抱えるストレスの影響プロセスを明らかにする予定である。夫婦ペアデータ収集のため、茨城県内の保育園・幼稚園に調査を依頼し、調査協力を得ることができた園を通じて、質問紙の配布を行いたい。
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Causes of Carryover |
当該年度に予定していた調査を次年度に回したため、次年度使用額が生じている。使用計画としては、次年度の調査に関連する費用、国内外の学会における研究発表のための参加費と旅費、高度な多変量分析に関する専門的知識の供与への謝金、国際誌投稿のために必要な英文校閲の費用として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)