2016 Fiscal Year Research-status Report
テキスト収集の飽和度を測る捕獲率についての応用的研究
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16K17317
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
大橋 洸太郎 立教大学, 社会情報教育研究センター, 助教 (30734032)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 捕獲率 / 自由記述 / 知見の汲みつくし |
Outline of Annual Research Achievements |
諸分野への手法適用の拡大 自由記述における知見の汲みつくしに関して,共同研究を進めている高嶋幸太氏と共に,「第二外国語教育における良い授業とは何か」というテーマの調査を行った。対象は大学1年から3年生までの第二外国語を受講している学生であり,3問,60件の回答を得ることができた。また,得られた各問題について高嶋氏と共にKJ法を用い,知見の抽出を行い,得られた知見について捕獲率を計算した。その結果,第二外国語教育において学生が求めている要点が飽和的に収集できていたことが示された。また,新しい試みとして,回答者を性別や留学志望別,将来第二外国語を仕事に利用する意思があるかどうかといった属性別に分類し,各下位カテゴリーでも知見が飽和しているかどうかの検討を行った。その結果,知見の収集の十分な層と,そうでない層の存在が明らかとなり,結果の議論の際に,より詳細に解釈可能な範囲を絞った部分での言及を行うことができた。現在,当該の研究成果については教育心理学会でのポスター発表と共に,論文投稿を行っている段階にある。
新しい手法の確立 国内外の資源量推定の方法を調査し,より自由記述の汲みつくしに応用可能な手法がないかどうかを検討した。この結果,自由記述特有の,知見収集の特徴が明らかとなり,これに特化した新手法の確立を視野に入れるべきことがわかった。現在,この問題に対処した方法を提案するために,新しい提案手法の確立に向けて研究を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では,捕獲率に応用可能な資源量推定法の模索や,新しい手法提案のための文献研究を主目的としていた。しかしながら,自由記述特有の問題点の発見や,これに対する新手法提案への足掛かりまで得ることができている。このため,2年目への活動が順調に進められる結果となっている。また,共同研究者との足並みが揃い,捕獲率の諸分野への応用という目標に関しても,データ収集,分析,結果公表の段階にまで進むことができ,この方面に関しても計画は順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
自由記述特有の問題に関する対処を行った新手法の確立を行うことで,従来より,より柔軟な知見収集の方途を得ることが可能となる。このため,新手法の確立をまず第一歩として今後の研究の推進方策としたいと考える。また,それが完遂された暁には,実データへの適用やシミュレーション研究を通じて,新手法の妥当性の検証を行いたいと考える。捕獲率の諸分野への応用に関しては,論文投稿を進め,成果としていずれかの論文誌掲載を目指したいと考える。
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Causes of Carryover |
購入予定のソフトウェアの予定金額が残額より少し上回っていたために,次年度の購入とすることとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に購入予定であったソフトウェアの購入と,本年度の研究に必要な図書の購入に充てる。
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