2016 Fiscal Year Research-status Report
感情への気づきを促す児童用言語表現教育プログラムの開発:国語教育との融合
Project/Area Number |
16K17318
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
遠藤 寛子 立正大学, 心理学部, 特任講師 (30364425)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 感情 / 予防教育 / 小学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,感情への気づきを深める要素を加味した心理教育を導入するとともに,これらの要素と対応する表現力を育成するための教育プログラムを考案し,その効果を検証した。 小学校高学年を対象に実施された。本プログラムは3段階から成る。具体的には,感情への気づきを深める要素(1感情に伴う身体の変化への注意,2感情のイメージ,3感情の強度への注意)を促しつつ,これらと対応する言語表現を教授した。授業1週間前に所定の質問紙(自己洞察・他者の感情理解に関わる項目,身体の変化・比喩表現・程度を表す副詞に関する語彙力の項目)に回答を求めた。第1段階の授業が実施されると,その1ヵ月後に第2段階,2ヵ月後に第3段階が実施された。第3段階から2週間後に所定の質問紙に回答を求めた。 自己洞察を目的変数として,群(授業実践群,統制群)×測定時期(授業前,授業2週間後)の2要因混合計画に基づく分散分析を行った結果,交互作用が有意であることが認められた(F(1,90)=3.93,p<.05)。群ごとに測定時期の単純主効果検定を行ったところ,授業実践群において有意であり(F(1,90)=46.59,p<.01),授業前と比べて授業後(2週間後)に有意に上昇していることが示された。また,他者の感情理解においても同様に分析を行ったところ,交互作用が有意であることが認められた(F(1,90)=5.86,p<.05)。また授業実践群において有意であり(F(1,90)=10.75,p<.01),授業前に比べて授業後に得点が有意に上昇していることが示された。さらに語彙の習得度に関しても同様の結果が認められた。
よって,本プログラムを受講した児童は,受講しない児童に比べると,受講2週間後に「自己洞察」および「他者の感情理解」が促進される可能性が明らかとなった。同時に,感情への気づきに対応する語彙習得度も高まる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者や協力校の教員との連携がとれているため,予定通りに進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
本プログラムを一時的ではなく,長期にわたって継続することによる効果について検証する予定である。すなわち,本プログラムを受講した5,6年生を対象に,自宅で数週間にわたって定期的に継続してもらう。継続して行った群と何もしなかった群の2群に分け,自己洞察(感情・思考,身体への変化)と他者理解への影響を検討する。また,自己洞察に対応する語彙習得の程度についても検討を行う予定である。
また,小学4年生を対象とするためにプログラムを改良する予定である。
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Research Products
(1 results)