2016 Fiscal Year Research-status Report
認知機能検査のディスクレパシーと認知機能の継時的変化の関連についての研究
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16K17327
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
福榮 太郎 横浜国立大学, 障がい学生支援室, 講師 (10638034)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知機能検査 / 認知機能障害 / 継時的変化 / MMSE / HDS-R / COGNISTAT / CDR |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者社会において認知機能障害の早期発見は喫緊の課題である。しかし,発見後の認知機能の変化予測という点になると,脳画像検査やバイオマーカー検査など,身体への侵襲性があったり,経済的に一定の費用のかかる負担の大きな検査が必要となる。 そこで本研究では,すでに臨床現場で広く使用されており,施行も簡便な認知機能検査に着目し検討を行う。すでに単体の認知機能検査の結果だけでは,継時的変化の予測は難しいとされているが,我々の行った先行研究では,認知機能検査間の差に着目した場合,1年後の継時的変化と有意な関連を示した。つまり,単一の結果では,認知機能障害の予後の予測は困難であるが,複数の結果を総合し,検討を行った場合,予後の予測の可能性があるということになる。 そこで本研究では,6つの認知機能検査(MMSE,HDS-R,COGNISTAT,JART,FAB,CDR)の差,そして各検査に設定されている下位項目(例えば,見当識,注意,理解,復唱,呼称,構成,記憶,計算,類似,判断など)の差に着目し,1年後の認知機能の変化とどのような関連があるかを検討する。そして,各認知機能検査の差,もしくは下位項目の差と,1年後の認知機能の状態に何らかの関連が見られた場合は,予後予測の可能性のある包括的認知機能検査バッテリーの有効性を検討することを目的としている。 本研究はすでに横浜市立みなと赤十字病院と研究協力体制を作り,データの収集を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在研究そのものは概ね順調に進んでいる。認知機能検査の施行,データとしての蓄積,整理等は,研究協力機関である横浜市立みなと赤十字病院内において,順調に進んでいる。また研究責任者へのデータを受け渡しなども定期的に,適切な形で行われており,準備的な解析なども研究責任者によって行われている。 研究開始時点で想定していなかった変化としては,人事的な異動等が挙げられるが,これらの変化についても現状では,前任者が現任者に引継ぎを遺漏なく行い,研究そのものの妨げとはなっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階で,一定のデータの収集は行われているものの,2016年4月に開始された本研究においては,現時点で継時的な検討を行うことはできない。「継時的」という時間の変化について,本研究では最低で1年を想定しているため,現状(2017年4月時点)では,今後1年間の変化のデータが収集されることになる。 そのため今後も研究協力機関である横浜市立みなと赤十字病院との連携を密にし,継時的なデータと,新規の研究協力者を募っていく必要があると考えられる。
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Causes of Carryover |
本課題の進捗そのものは一定程度順調であるものの,2016年度においては,認知機能のデータの蓄積が行われ,その入力等が行われた。そのため継時的な検討を行う本課題の目的においては重要な期間であったが,一方で継時的なデータとしての処理や確定診断などの複雑な処理が少なく,想定以上に人件費が抑えられた。また継時的なデータを用いた成果物なども作成できていないことから,発表などの際に生じる旅費等の出費が抑えられた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度より,研究計画にも示したように研究開始から1年後のデータの蓄積が始まる。そのため,研究協力者への謝金や成果の発表等の必要性が高まると考えられる。次年度使用額は,これらの費用に充当する予定である。
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