2016 Fiscal Year Research-status Report
MCIが運転能力に与える影響に関する追跡調査:神経認知課題の危険運転予測力の検証
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16K17331
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河野 直子 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任講師 (30583835)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 軽度認知障害 / 高齢運転者 / DRIVE study |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢期に生じる軽度認知障害 (MCI)が運転技能および運転行動に与える影響を理解するため, 65歳以上の運転者を対象とした追跡調査 (The study of Driving Risk and Individual Variables for Elderly drivers: 略称DRIVE study)を進めている。H28年度12月までにベースライン調査を終え(n=301), 除外基準を満たした23名を除く278名を追跡対象として得た。ベースライン調査から半年経過するごとに郵送調査を, 1年半経過するごとに対面での再評価を順次進めた。ベースラインの施設調査では, アンケート形式および半構造化面接による背景情報および運転状況の聴取, 認知機能評価, 運転能力評価を行った。運転能力評価については, ドライビングシミュレータを用いた他, アンケート形式にて運転中に経験した事故, 交通違反および運転中の失敗, 運転中止といったイベントの有無や時期の確認を行った。ベースライン時点での主観的なもの忘れの訴えおよび神経心理学的検査の成績 (認知領域の成績が同年齢層の-1SD以下であること)に基づき, 278名の対象から認知機能健常群とMCI群を抽出した。過去3年間に事故と交通違反のいずれかを経験したか否かないし過去3年間に記録に残らない運転の失敗を経験したか否かを従属変数としたロジスティック回帰分析を行った結果, 人口統計的変数と各種の運転リスク変数を考慮した場合においても, MCI傾向は危険運転のイベント発生と統計的に有意な関係を示さなかった。横断的な評価に留まるが, 本研究からは単にMCIであることをもって直ちに運転中止と判断するほどの運転リスクは認められない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標サンプルサイズ250 名(内20%, 50 名程度のMCI 者を包含と推定)を目指して調査を進めてきたが, H28年12月末の段階で278名(内, MCI 66名)の追跡対象を得ており, 目標数を満たすことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度中に行った解析は, 参加者の自己報告に基づいており, 横断的評価に留まる点で限界がある。今後は, 前向き調査を継続し, 自己報告のみならずドライビングシミュレータなどの客観的指標の変化も含めて検討することで, MCIが運転技能や運転行動に与える影響をより正確に評価することを目指す。さらに, MCIの下位群間での比較検討や, 1 年半後までの危険運転発生に対する各種認知機能指標の予測有効性を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
旅費等をおさえられたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降の成果発表旅費として充当する。
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Research Products
(5 results)