2018 Fiscal Year Research-status Report
MCIが運転能力に与える影響に関する追跡調査:神経認知課題の危険運転予測力の検証
Project/Area Number |
16K17331
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河野 直子 名古屋大学, 未来社会創造機構(医), 特任講師 (30583835)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | MCI / 高齢運転者 / 時計描画検査 / DRIVE study |
Outline of Annual Research Achievements |
地域在住の65歳以上の運転者を対象とし、認知機能変化が運転技能に与える影響を検討するコホート「DRIVE study」を進めてきた。当初、ベースライン時点での全登録者310名から登録後辞退者等を除く301名が調査対象となり、ベースライン時点での評価結果に基づき、認知機能健常(CN)群188名、軽度認知機能低下(MCI)群66名を選出して主要な解析に用いてきた。H30年度は1.5年目来学調査と収集データ整理、最長4年目までの追跡郵送調査 (半年毎)を順次、実施した。なお1.5年目時点で31名が脱落しており(解析対象中での脱落率: 12.2%)、MCI群60名、CN群163名分のフォローアップ調査紙を回収した。内MCI群55名、CN群145名が来院追跡調査にも参加した。脱落率に群間差はなかった。1.5 年のフォロー期間中に参加者が「運転中の事故、交通違反、運転中止・中断、CDR2点以上との診断」のいずれかを経験した時点でイベント発生と捉えた場合のイベント発生率は15.7%(40/254 名)であった。1.5 年目時点までのイベントの有無を従属変数とし、共変量として、群(CN, MCI)、教育歴(大学・短大進学経験の有, 無)、ベースライン時点での走行距離(51km/週以上, 以下)を加味してCOX回帰分析を行ったところ、群変数は統計的に有意ではなかった。また実施した評価項目のうち、時計描画検査と運転イベントの発生との関連を確認した。具体的には、1.5 年のフォロー期間中のイベントの有無を従属変数とし、ベースライン時点の MMSE 得点、教育年数、走行距離を共変量としたロジスティック回帰分析を行ったところ、全ての共変量を加味したモデルにおいても最も節約したモデルにおいても、B 時点のCDT得点が低い程ないし8点以下であるとよりイベントが発生していた(p < 0.05)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半年毎の郵送調査、1年半後の来学調査を順次実施できたこと、およびデータクリーニングが終わった時点までのデータベースを用いて、2種類の主要解析項目「1)MCIとそのサブタイプごとの特性が運転行動や運転能力に与える影響について、高齢運転者を追跡することによって明らかにすること」、「2)運転中の交通違反や事故の発生、運転の中止といったイベント予測に関する神経心理学的検査の有用性を検証すること」に取り組めたことから「概ね順調に進展している」ものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
COX回帰分析の結果から、1.5年後追跡の段階で、未だMCIが運転能力に与える影響は明らかといえない。今後、追跡研究の中でイベント経験のある対象者数が十分に確保できた段階で、性別、職業の有無といった生活背景や居住環境、認知機能以外の個人特性等を加味して運転技能と認知機能低下との関わりをさらに検討していく。運転中の交通違反や事故の発生、運転の中止といったイベント予測に関する神経心理学的検査の有用性検証も、課題を組み合わせて用いる場合も含めて、更に検討を進める。
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Causes of Carryover |
3年目の追跡を来所型調査から郵送調査に切換えたことに加え、物品費、人件費、成果発表費の節減につとめたこと等による。今後、郵送調査の継続(予定年限から追加実施)と成果公表に使用する。
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Research Products
(8 results)