2017 Fiscal Year Research-status Report
情動焦点型コーピングの機能的メカニズムにかかわる潜在的・顕在的感情の役割
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16K17335
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
内田 香奈子 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (70580835)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 情動焦点型コーピング / 状況的アプローチ / インプリシット・アフェクト / エクスプリシット・アフェクト / 短期縦断的検討 / ストレス・コーピング / 潜在的・顕在的感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度に開発が完了したEAC(Emotional Approach Coping Scales)特性版をベースに、状況版の開発を行った。特性版とは、コーピングを比較的安定したものと捉え,普段のストレッサーに対するコーピングが測定可能な版を指し、状況版とは、特定の時点における特定のストレスフルな出来事に対して行われるコーピングが測定可能な版を指す。特性版と状況版は先行研究にならい、共通項目を使用し、双方が比較検討可能なものとする。研究1において既に項目のトランスレーション作業は終了しているため、本研究では教示文ならびにリッカートについて翻訳作業を行った。 また、あわせてインプリシット・アフェクト(Implicit Affect:IA)とエクスプリシット・アフェクト(Explicit Affect:EA)が情動焦点型コーピングに与える影響を短期縦断的に検討した。IAの測定にはQuirin et al.(2009)によって開発されたImplicit Positive and Negative Affect Test(IPANAT)の日本語版(下田他, 2014)を、EAの測定にはPositive and Negative Affect Schedule (PANAS)の日本語版(佐藤・安田,2001)を使用した。また、健康変数には大学生での精神的健康問題を鑑み、抑うつを測定し、尺度にはCES-D (Center for Epidemilogic Studies Depression scale)の日本語版(島, 1998)を使用した。 因子構造の確認、標準化、ならびに各変数間の因果結果は現在分析中であり、今年度の学会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究2として予定していた、EAC状況版の作成と、研究4として予定していた、IAならびにEAが情動焦点型コーピングに与える影響の縦断的検討を行った。縦断的検討は3ヶ月以上の期間を空けることが一般的であるが、実施期間の確保が難しかったため、その期間を1ヶ月間とし、短期縦断的検討に変更した。しかし、この点については、検討が難航する場合の対応策として、あらかじめ計画されていたため、おおむね順調に進展していると判断する。今年度は予定通り、研究5・6を実施する方向で準備する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究5では、仮想的ストレス状況を設定し、その状況下において IA と EA の変動が情動焦点型コーピングに与える影響を検討する。仮想的ストレス状況を講義時間に設定する予定のため、既に授業のシラバスには授業内に研究を目的とした評価等が行われる旨を記載し、準備を進めている。研究6では、これまでの研究結果の総括として、情動焦点型コーピングが機能的・非機能的に働くメカニズムに関するモデルの構築を試みる。なお、研究5の遅延を考慮し、研究6のモデル構築の試みを同時に進めたい。
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Causes of Carryover |
データ処理補助依頼に伴う謝金の増額、ならびに学会への参加・発表予定が増えたことによる旅費の増額が予想されたためである。よって次年度使用額は、謝金と旅費に約50%ずつ使用する予定である。
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