2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K17336
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田村 優佳 愛媛大学, 教育学研究科, 助教(特定教員) (70627463)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 対象物の把握様式 / 内観の深さ |
Outline of Annual Research Achievements |
内観療法とは,内観体験者独自の視点から人にしてもらったこと,人に返したこと,人に迷惑をかけたことを想起していく心理療法である。そのため,内観体験者の現実検討能力(現実や内面を適切に捉える力)や洞察する能力の違いによって,内観が深まったり,浅い段階に留まっていたりすることが推察される。現実検討能力や洞察能力の根本には,対象物の把握様式が存在していると考えられており,辻悟氏によれば,未分化(全体についておおまかで混沌とした見方の段階),分析的(部分についての分析的で明確な見方の段階),総合的(部分の有意義な利用を伴った全体の総合的な再構成が可能になる段階)の3つの発達段階に分けることができる。 本年度は,対象物の把握様式の観点から内観の深まりを明確にすることを目的とした研究を行った。対象物の把握様式を理解する上で,心理臨床家が使用するロールシャッハテスト図版を用いた。なお,研究協力者の負担を減らすため,ロールシャッハテスト図版全てを実施せずに,辻悟氏が輻輳カードと提唱する3図版を使用した。分析対象は,ロールシャッハテスト図版の把握様式において,未分化全体反応,部分反応(初期集約),統合性全体反応を示す3事例とした。その結果,未分化全体反応,部分反応(初期集約),統合性全体反応の順で,内観の内容や対象が具体化した。以上のことから,内観の深まりを効果的に判定するためには,ロールシャッハテスト図版の把握様式の違いを理解する必要があると示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度と同様に,本年度,文献の収集,インタビュー調査,アンケート調査等実施してきた。昨年度より継続して得られたデータを基に,日本内観学会の学術雑誌に論文1編を投稿した。また,論文化できていないが,内観療法が非行少年の固執性に与える影響を調べて興味ある結果を得られている。 上記のことから,研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度,ロールシャッハテスト図版の把握様式によって,内観の深まりが決定されると示唆された。今後,深い内観の結果どのような教育効果が生じるか,研究を進める。また,教育効果の持続性(効果が一時的,維持,発展させている等)について,ロールシャッハテスト図版の把握様式の観点から研究を行う。
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Research Products
(1 results)