2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K17336
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田村 優佳 愛媛大学, 教育学研究科, 助教(特定教員) (70627463)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心理教育 / 他罰反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,昨年度から取り組んでいた内観の深まりをいかに分析するか,年少者で内観が深まるかについて成果発表を計画し,予定通りすすめることができた。また,内観の効果について検討を行う中で,本年度は,教育の一環として集中内観を計画的に実施しているある施設の協力の下,内観の評価測定に一般的なP-Fスタディを使用して,素行不良傾向を示す少年の他罰性について調査を実施した。本調査を行うに当たり,施設の職員から調査の趣旨や内観前後でP-Fスタディ及び面接することを説明した。了承している者のみが参加しているため,調査協力者は積極的にP-Fスタディ及び面接に応じた。集中内観前のP-Fスタディの集計を行い,「他罰反応(Extrapunitive)」が特徴的な2名を研究対象者として抽出した。両名は,性別や年齢によるバイアスがかからず,「悪くなった原因は,まわりのせい」と考えがちであった。集中内観の直後は,著しい変化が他罰反応で起こり,標準的な値に低減した。さらに,質的・内容的にも他罰性の抑止効果がみられ,集中内観は攻撃的構えの緩和の契機となるだろう。集中内観1か月後には,他罰反応について質的な違いはあるものの,両名ともに増加し,集中内観による変容が定着していない状態であるように考えられた。思春期男子の心性と発達段階,思考様式の問題がはらんでいるかもしれない。本年度は,他罰反応が高く粗暴的な行動歴をもつ思春期男子について,他罰性の抑止効果の持続の点から質的・量的に把握し,課題が見えてきたことが大きな成果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成果を公表するところまで至らなかったが,学術雑誌への投稿、次年度の研究発表の準備などを行うことができたことから,研究課題は,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,集中内観の効果の持続性を高めるために,さらに事例や知見の集積に努める。
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Causes of Carryover |
研究発表にかかる経費を見込んでいたが,成果を公表するところまで至らなかったため使用することができなかった。本年度使用できなかった助成金は,研究成果の発表に際し必要となる。
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