2018 Fiscal Year Annual Research Report
Longitudinal study of the anxiety and acceptance experienced by evacuees from the nuclear accident upon their return to the hometown
Project/Area Number |
16K17338
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
日高 友郎 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70644110)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 文化心理学 / 発達心理学 / 質的研究 / ダブルバインド / 犠牲 / 災害文化 / 記号論 / PTG |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に基づき、福島県内の原発事故避難者を対象としたインタビューを継続的に実施した。のべ3名、158分のインタビューを実施した。調査成果は以下のように整理される。1. 調査フィールド(A自治体)の中で、帰還可能地区と不可能地区とが分かれてしまい、それが自治体内での住民の分断を生じていること。2. 放射性廃棄物の処理(埋立て等を含む事実上の永続的な保管)の候補地として、上記の帰還不可能な地区が選定されつつあり、「他の地区の復興・改善のために犠牲を強いられる」状況が存在すること。3. 放射性廃棄物の処理を受け入れることと引き換えに地区の除染作業を実施する、という状況が構成されている一方、処理を受け入れることは土地の永続的喪失を決定的にしてしまうというダブルバインド状態が生じていること。 また、関連する論考を発表した(書籍の分担執筆)。原発事故発生から、避難、避難区域指定が解除されるまでの時間軸に沿った公的情報の整理や、その時々での当事者の経験について質的研究法により分析を行った。震災ならびに原発事故の発生は、それ以前に存在していたA自治体への不満や不便さという問題を顕にした出来事である。文化心理学の観点から、こうした経緯は、「原発事故は避難の促進的記号」として整理された。本件においては既存の災害研究のレビューイングも含まれており、「災害文化」「災害ユートピア」「PTSD, PTG」などの関連諸概念との接続についても検討が進んだ。
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[Book] 文化心理学2019
Author(s)
木戸 彩恵、サトウ タツヤ
Total Pages
304
Publisher
ちとせプレス
ISBN
978-4-908736-13-1