2017 Fiscal Year Research-status Report
拒絶過敏性を愛着の問題として介入する非定型うつ病の対人関係療法の開発と効果検証
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16K17339
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
今井 理紗 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 臨床研究医 (30769336)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心理療法 / 薬剤抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近の先行研究で、薬剤抵抗性うつ病に対する対人関係療法の無作為化比較試験にて非介入群と有意差がみられなかった結果をふまえ、薬剤抵抗性うつ病に対する対人関係療法ではさらなる工夫が必要であると考えられ、薬剤抵抗性の患者や対人過敏性の高い患者の心理社会的特性や経過についてコホート研究を行う計画をした。また、臨床的にPTSDを併存すると通常のうつ病治療では改善しないため、PTSDの観察研究に参加し、うつ病との関連などについて調査することにした。また、薬剤抵抗性の患者では併存精神疾患を合併する割合が高いが、対人関係療法のマニュアルでは併存精神疾患のある場合にどのように介入するかを定めたマニュアルがない。そのため、患者の併存精神疾患を治療前に同定し、同定した併存精神疾患のそれぞれの既存のマニュアルを用いながら、すべての併存精神疾患について前後で症状評価尺度を測定することとした。また、薬剤抵抗性の背景として、心理社会的要因だけではなく炎症や脳の形態などの要因も関連するという報告もあり、介入の前もしくは前後に炎症系や脳画像検査を測定することとした。 2016年11月より観察研究をはじめ、現在までに患者は45名リクルートした。2018年7月のうつ病学会にて対人過敏性や5因子性格特性について調査した内容について、ポスター発表を行う予定である。2016年1月よりPTSDの観察研究に参加し始め、うつ病や虐待体験と炎症との関連や、炎症と認知機能との関連を調査し、論文を投稿し、掲載が決定した。 2016年8月に併存精神疾患の評価を含めた対人関係療法の介入研究をはじめ、現在までに17例リクルートした。2017年6月には国際対人関係療法学会で、7月には認知療法学会にてポスター発表を行った。 2018年2月からは前述の介入研究に炎症系や脳画像検査を追加した付随研究を開始し、現在までに5例リクルートした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画を作った後に掲載された先行研究の結果に基づき、観察研究や付随研究を追加して行っているが、どの研究も比較的順調にリクルートできている。当初の計画書には介入研究の症例数は20人と設定したが、現在までに17例リクルートできている。
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Strategy for Future Research Activity |
介入研究の結果、治療効果がある程度見込めそうだと判断できれば、無作為化比較試験の準備を行う。もう少し修正が必要だと判断した場合は、観察研究や介入研究の結果に基づき修正版の対人関係療法の開発を行う。
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Causes of Carryover |
本研究は4年間で行うことを計画しており、最終年度に学会発表や論文化をする予定であり、その際に費用がかかるため、繰り越した分の費用はそのときに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)