2018 Fiscal Year Research-status Report
拒絶過敏性を愛着の問題として介入する非定型うつ病の対人関係療法の開発と効果検証
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16K17339
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
今井 理紗 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30769336)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | うつ病 / 持続性抑うつ障害 / 併存精神疾患 / 治療抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
持続性抑うつ障害は自然寛解しにくい疾患である。多くのうつ病患者には併存精神疾患があるが、併存精神疾患があると治療抵抗性だといわれている。この研究では、併存精神疾患と持続性抑うつ障害のある抑うつエピソードの患者に対して対人関係療法を行い、実施可能性や忍容性を調べることを目的とした。対人関係療法を行う前に併存精神疾患の評価を行い、その併存精神疾患に対応した修正版マニュアルを参照して介入した。4人の治療者にて施行した。治療の質を保つため、ときおり治療者同士で面接に同席するか、録音を確認した。治療後は治療前と比べてうつ病症状が有意に低下した。治療後介入終了時点における脱落者は一人もいなかった。この結果から、自然寛解しにくい併存精神疾患のある持続性抑うつ障害に対しても、対人関係療法が施行できる可能性がある。結果は国際学会や論文を通して報告する予定であり、2019年度の国際対人関係療法学会に抄録を提出する予定である。今後は無作為化比較試験によって、効果を検証する必要がある。また、対人関係療法はどのような点が改善すれば効率的に改善するのか十分にわかっておらず、特に我が国でも研究は少ないため、治療終結期において自覚的にはどのような側面が変化したのかを自由記載してもらい調査した。質的手法にてまとめ、2019年度の国際学会に抄録を提出する予定である。また、自然寛解しにくいうつ病患者に対して効率的に対人関係療法を施行するために、精神症状の効果予測因子(対人過敏性やBig Fiveなどの性格特性、炎症、認知機能、脳画像など)や、効果予測因子同士の関連性についても調査をしている。効果が出にくい症例の特性を明らかにし、今後はそのような特性の患者に応じた修正版を開発する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
院内や他院クリニックから紹介してもらい、順調にリクルートが進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年に開催される国際対人関係療法学会にて、前後比較データについて報告予定である。その後、論文化する予定である。 効果予測因子を解析するためさらに症例が必要であるため、リクルートを続けていく。現在までに概ね順調にリクルートが進んでいるため、このまま続けていく。
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Causes of Carryover |
最終年度で学会発表、論文投稿をするため、多くの費用がかかる予定があり、最終年度に予算を残すため。
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[Presentation] PTSD女性患者における炎症マーカー:炎症の亢進が認知機能低下に影響を与える可能性2018
Author(s)
今井理紗, 堀 弘明, 伊藤真利子, 林 明明, 丹羽まどか, 井野敬子, 小川 成, 石田 牧子, 関口 敦, 松井 三枝, 功刀 浩, 明智龍男, 加茂登志子, 金 吉晴
Organizer
日本生物学的精神医学会
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[Presentation] 抑うつエピソード中の入院患者に測定した5因子性格特性・対人過敏性におけるうつ病患者と双極性障害患者との比較2018
Author(s)
今井理紗, 近藤真前, 井野敬子, 小川成, 赤毛太郎, 木下貴文, 松永由美子, 石黒由高, 小澤大嗣, 橋本伸彦, 高畠聡, 桑原絢也, 利重裕子, 明智龍男
Organizer
日本うつ病学会