2017 Fiscal Year Research-status Report
心理専門職による研究知見の効果的生成・臨床的活用・社会的発信に関する研究
Project/Area Number |
16K17343
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
新井 雅 跡見学園女子大学, 文学部, 講師 (80750702)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心理専門職 / 研究活動 / 研究への興味・関心 / 研究の自己効力感 / 研究に関わる教育訓練環境 / エビデンスに基づく心理学的実践 / 教育訓練 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床技能を高め実践することに関心の強い心理専門職において、研究活動への意識や関与を高めつつ、研究活動を基盤とした多様な臨床的・社会的活動へとつなげる試みを探求することは重要である。本研究では、心理専門職による研究知見の「効果的な生成につなげる意識」、「臨床場面での活用」、「社会に向けた発信」に関する実態調査を行いつつ、上述の研究活動を支えるサポート体制や心理専門職のための教育訓練プログラムの作成と効果検討を行うものである。 平成29年度は、昨年度の研究状況・実績を踏まえて、次の3点を行った。 (1)本研究全体の基盤となる先行研究の検討と展望論文の執筆・投稿 (2)心理専門職による「研究活動」に関わる考えや認識を多面的に捉えるため、臨床心理士指定大学院の大学院生(修士・博士前期課程)の2年生,臨床心理系の博士課程の大学院生,臨床心理士資格を有し臨床心理士養成に携わっている大学教員,上記以外で臨床活動を行っている心理専門職を対象とした調査を実施した。各対象者の研究活動への興味・関心(Research interest)や自己効力感(Research self-efficacy)、研究知見の臨床的活用および社会的発信や普及、およびこれらの能力を高めるための教育訓練のあり方についての認識や考えの傾向を捉えた。 (3)上述の研究論文の検討および調査結果を踏まえて、さらに研究活動への興味・関心、自己効力感や研究に関わる教育訓練環境(Research Training Environment)、研究知見の臨床的活用、エビデンスに基づく心理学的実践に関わる認識を尋ねる調査項目を追加・精選し、臨床心理士指定大学院の大学院生(修士・博士前期課程)の1、2年生と臨床心理士取得済み・取得見込みの心理専門職を対象としたインターネット上のWeb調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、本研究全体の調査研究を進めるために必要な基礎となる予備的な調査を行い、そこから得られたデータや分析結果を踏まえ、研究活動や研究知見を臨床的に活用することに関わる認識や態度を測定する項目を用いて、臨床心理士指定大学院の大学院生(修士・博士前期課程)の1、2年生と臨床心理士取得済み・取得見込みの心理専門職を対象としたインターネット上のWeb調査を行うことができた。一方で、研究知見を社会的に発信・普及する活動に関わる認識や態度を明らかにする調査を実施することができず、平成30年度に実施していくこととなっている。そのため、やや遅れていると判断した。しかし、調査に向けての基礎データは収集できているため、今後は調査項目の選定、調査計画が整い次第、実施していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、研究知見を社会的に発信・普及する活動に関わる認識や態度を明らかにする調査を実施する予定である。調査対象者は、臨床心理士指定大学院の大学院生(修士・博士前期課程)の1、2年生と臨床心理士取得済み・取得見込みの心理専門職を予定している。 第二に、ここまでの調査研究で見出された分析結果を踏まえて、心理専門職による研究活動を支えるサポート体制や心理専門職のための教育訓練プログラムの検討を具体的に進めていく。 第三に、上述の研究のデータ収集・分析と並行して、本研究の知見を各種学会や研究論文を通して公表していく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 今年度中の調査は進められているが、全体的にやや調査計画・実施に遅れが生じているため次年度使用額が生じた。しかし、全体の調査計画に大きな変更はない。各年度に実施予定であった調査を順次進めていく予定である。 (使用計画) 調査用紙の作成・印刷・送付、面接調査の際に必要となる旅費、研究成果の発表に関わる学会参加費、随時必要となる文献複写等に関わる費用を計上する予定である。
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