2017 Fiscal Year Research-status Report
悩みを抱えていながら相談に来ない学生の理解と支援に向けた学生支援モデルの構築
Project/Area Number |
16K17347
|
Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
木村 真人 大阪国際大学, その他部局等, 准教授 (60365004)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 学生相談 / 援助要請 / 大学生 / 教職員 / 利用の勧め / 学生相談利用のメリット / パブリック・スティグマ / 援助要請態度 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、「悩みを抱えていながら相談に来ない学生への対応」について、学生支援に携わる大学教職員を対象にアンケート調査を実施した。本調査の主な目的は、日々大学生と関わる大学教職員が、(1)悩みを抱えている学生に対して学生相談機関の利用を勧めることをどのように捉えているか、(2)悩みを抱えている学生に対して学生相談機関の利用を勧める際にどのような困難を感じているのか、を明らかにすることで、悩みを抱えていながら相談に来ない学生に対する、学生相談機関と学内教職員のよりよい連携のあり方を見出すことであった。全国の大学780校に調査協力の依頼文書を送付し、web上での回答協力を求め、238名の大学教職員からの回答が得られた。 (1)では、大学教職員は心理的な援助を受けることに対する大学内でのスティグマを強く感じているほど、学生相談機関の利用のメリットを低く評価し、それにより、学生に学生相談機関の利用を勧める意図が低いことが示された。さらにスティグマは専門的な心理的援助に対する援助要請態度を媒介して、学生相談利用のメリットおよび学生相談機関の利用の勧めに影響を与えていた。 (2)では、自由記述回答を分析した結果,「大学教職員が利用を勧める際の困難」としては,「敷居の高さ」,「(学生の)時間が合わない」,「相談への意欲がない」,「利用を促しても抵抗感を訴える」,「本人と連絡が取れない」,「情報共有」,「カウンセリングを受けることへの認識や周囲の目を気にする」,「発達障害の特性がある」等の困難が明らかとなった。「学生相談機関の利用を勧める際の工夫」では,「一緒に行く」,「本人の意思の尊重」,「守秘義務」を伝える,「否定的な言葉」を使わない,「敷居を下げるような声掛け」,「カウンセリングのイメージについての心がけ」,「選択肢の一つとして提案する」等の工夫を実践していることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は予定通りに全国の大学教職員を対象としたアンケート調査を実施することができたが、実施を予定していたインタビュー調査は、インタビュー協力者との日程調整がつかずに、次年度に実施することとなったため、上記のように評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成30年度は、大学生を対象としたアンケート調査と、学生支援に従事する大学教職員を対象としたインタビュー調査を実施予定である。大学生を対象としたアンケート調査では、大学の教職員から学生相談機関の利用を勧められることに対する意識と学生相談機関の利用の意識との関連を明らかにすることを目的とする。学生支援に従事する大学教職員を対象としたインタビュー調査では、大学生に学生相談機関の利用を勧める際の困難と工夫について、より詳細に検討することを目的とする。
|
Causes of Carryover |
今年度実施予定であった大学教職員を対象としたインタビュー調査は、調査協力者との日程が合わず、次年度に実施を見送ることとなったため、「人件費・謝金」は次年度に繰り越すこととなった。その他の主な使用予定としては、大学生を対象としたアンケート調査実施のための費用、文献複写費用、学会での研究成果発表のための旅費等である。
|