2016 Fiscal Year Research-status Report
カウンセリング技法トレーニングの発展に関する研究:マイクロカウンセリングの洗練化
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16K17348
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
河越 隼人 帝塚山大学, 心理学部, 講師 (40631940)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マイクロカウンセリング / カウンセリング技法 / カウンセラー養成 / 傾聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,マイクロカウンセリングによる訓練効果を明確に捉えるため,国内外の関連文献をレビューするとともに,カウンセリング技法の援助効果を測定するための尺度作成に取り組んだ。また,その尺度を用い,基礎的なカウンセリング技法である感情の反映技法がマイクロカウンセリングの訓練によってどの程度習得されるかを検討するための予備研究を実施した。 カウンセリング技法の援助効果を測定する尺度の作成では,カウンセリングおよび心理療法に関するカリキュラムを修めている大学院生3名に依頼し,必要な質問項目を抽出,分類した。その結果,カウンセリング技法の援助効果は,情報整理,共通理解,会話促進,情緒安定,信頼形成,不満解消という6つのカテゴリーに分類されることが示唆された。これに基づき,本研究では上記の6つのカテゴリーそれぞれに関する質問項目を設けた尺度を作成した。 次に,心理学を専攻する大学生20名を対象に,マイクロカウンセリングによる感情の反映技法の訓練を実施した。作成した尺度の6つのカテゴリーについて,模擬カウンセリング内で訓練参加者がそれらをどの程度できているかを測定し,訓練前後でその変化を比較した。その結果,全てのカテゴリーの得点が上昇しており,マイクロカウンセリングによる訓練を受けた者は,基礎的なカウンセリング技法を習得し,クライエントに対する援助効果が高まることが示唆された。 以上のことから,平成28年度は,マイクロカウンセリングの訓練効果を明確に捉えるための尺度を作成することができたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カウンセリング技法の習得の程度を測定する際,カウンセラーがそれらを円滑に扱うことができるかという視点で捉えられることが多い。しかし,実際はカウンセラーの扱う技法がクライエントにとって援助的に機能しているかという視点を無視することはできない。そのため,平成28年度は,マイクロカウンセリングの訓練効果をより正確に捉える試みとして,カウンセリング技法の援助効果を測定するための尺度開発に取り組んだ。これによってやや進行に遅れが生じているが,研究課題を遂行することに大きな支障はない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,前年度に作成したカウンセリング技法の援助効果を測定するための尺度を指標とし,マイクロカウンセリングの訓練プログラムをより効果的なものへと発展させることを目的とした実験に取り組む。主な研究計画は以下の通りである。 4月から7月:実験を行い,データ収集に取り組む。 8月から12月:データ解析および学会発表を行う。追加データが必要な際には追実験を行う。 1月から3月:学会発表および得られた情報を踏まえた論文を執筆する。 なお,研究成果は,日本カウンセリング学会第50回記念大会や日本マイクロカウンセリング学会第10回学術研究集会での発表を目指す。また,Journal of Counseling Psychology (American Psychological Association)への論文投稿を目標とする。
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Causes of Carryover |
平成28年度は,実験を遂行する上で必要な尺度開発に取り組んだため,当初予定していた機材の購入が行われなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は,前年度に予定していた機材を購入する。
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Research Products
(2 results)