2018 Fiscal Year Annual Research Report
Self-interest bias in facial affect recognition as a function of psychopathy
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16K17349
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| Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
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Principal Investigator |
大隅 尚広 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部, 研究員 (50737012)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 顔表情 / 視線 / 利己性 / 脳波 / 事象関連電位 / 注意 / 行動制御 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
サイコパシーは利己性、冷淡さ、衝動性を特徴とするパーソナリティ特性であり、攻撃行動と強い関連がある。サイコパシーが攻撃行動を助長するメカニズムに関する仮説の1つとして、暴力抑制メカニズムの機能低下が挙げられている。すなわち、他者から苦痛の信号が示された際に、それに自動的に注意が向けられ、攻撃行動が抑制されるが、サイコパシーによって他者の苦痛の信号に対する感受性が低下すると考えられている。この仮説は、顔表情の中でもとくに悲しみと恐怖の表情に関する認知機能の低下を示す研究によって支持されてきた。本研究は、サイコパシーによるこのような選択的な表情認識の背景に自己中心性バイアス（自己の利害に基づく情報検索）があると仮説を立て、認知神経科学的なアプローチによってその根拠を得ることを目的としている。
平成30年度においては、恐怖と怒りの顔表情に対する注意と、それらを合図とした反応抑制について、サイコパシー特性による影響を検討した。その際、各顔表情の視線が観察者に向いている場合と逸れている場合を比較した。その結果、低頻度で提示される恐怖表情に対して反応を求めるとき、視線が逸れている場合よりも正面を向いている場合に、反応時間がサイコパシー特性の利己性によって長くなった。この結果は、他者の苦痛の信号に対する選択的注意がサイコパシー特性によって低下することを意味する。逆に、低頻度で提示される恐怖表情に対して反応の抑制を求めるときには、視線が正面を向いているときではなく逸れているときに、抑制の成績が利己性によって低下した。そして、その際に、行動制御と関連のある事象関連電位P3の振幅の低下が認められた。この結果は、脅威を知らせる社会的信号に対して過敏に反応してしまうと解釈できる。総じて、本研究により、サイコパシーによる表情認知の背景には自己の利害に基づく情報処理方略がある可能性が支持された。
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