2016 Fiscal Year Research-status Report
商業施設を中心としたコミュニティ形成に基づく新たな万引きプロジェクトの確立
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16K17350
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
皿谷 陽子 福山大学, 人間文化学部, 助手 (50739761)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 万引き防止対策 / 商業施設 / 万引き対策への意識 / 意識の違い |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,商業施設の店長と従業員の万引きに対する意識の比較を行い,店長と従業員の特徴を検討することを目的とし,大久保(2015)のアンケートを参考にアンケート用紙を作成し,調査を行った。本調査は,今後も新たな万引き防止対策を提案する際に,店長と従業員の万引き防止に対する意識の違いを把握することは重要である。 その結果,万引きの実態については,「捕捉の意志」,「警察への通報」,「弁償の請求」は従業員に比べ店長の方が高いことが分かった。これは,店舗の代表として警察に通報や万引き犯への対応を行うことが多いため,従業員よりも店長の評定平均値が高くなったと推測できる。そして,万引き防止対策については,「店員への教育」,「死角の認識」の店長の評定平均値の方が高いことが示された。さらに,万引きの実態や万引き対策については,回答欄外に書き込みがあり,『店長が対応』『?』,『わからない』といった書き込みがあったことから,店舗での万引き犯に対して,対応等を従業員が行っていないため,対策や死角を従業員が把握していないと推察できる。 また,万引きをうまく防げた事例については,店長,従業員とも「声かけ」を挙げている。これより,平成29年度は,商業施設における万引き防止対策活動として,「声かけマニュアル」を用いて従業員指導を行い,その効果を検証する。「声かけマニュアル」の内容としては,店員による積極的な接客(明るい挨拶,声かけ,態度)を行う。声かけ活動導入前後に,店員の万引きに対しての意識と態度(大久保他,2015)について調査を行う。また,店舗内での人的な万引き防止対策は,従業員に負担がかかると考えられる。通常業務の一端として万引き対策活動を行う事で,今までの職務に対してどのように感じているのか,意識的に「声かけ」を行うことによって従業員の職務への満足度がどのように変化するのかも検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は,警備企業の協力を得て,協力警備企業が契約をしている商業施設の店舗でのアンケート実施を行った。平成28年度の申請書では,アンケート調査後に介入として万引き防止活動を導入する予定であったが,万引き防止活動の導入にあたって,事前指導を行う必要が出てきた。それに伴い,営業中の商業施設での実施のため,事前指導方法の検討を余儀なくされた。また,営業中の従業員の拘束は,商業施設にとって不利益や負担を被る事が予測されるため,協力警備企業の仲介を得ながら,実施商業施設の上層部の承諾をいただいた後に,打ち合わせを重ねることとなった。 打ち合わせの結果,商業施設の重役からの承認を得た為,2017年4月25日(火)の協力依頼予定の商業施設の会議時に協力警備企業より各店舗の店長へ調査内容の説明等を行った。また,実施商業施設では,従業員への研修は行われている。そのため,研修担当のトレーナーとの打ち合わせを行うことになった。さらに今後は,介入時の事前指導や指導方法についても協力を頂いている警備企業とさらに検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で,万引き防止活動としての「明るい声かけ」の実施については,調査実施予定の商業施設より承諾を得ている。今後は,万引き防止対策活動の導入を行い,活動の効果測定を行う。 万引き防止活動を実施する際に,専門家(協力いただいている警備企業)から,事前研修等を受ける前を,活動実施前,研修後1週間後を活動直後,3ヵ月後をフォローアップ期とする。また,研修及び各期でのアンケートへの回答を従業員に求める必要性がある。また,万引き防止活動を行った際の,万引き防止に対する意識の変化及び,業務に対する満足感等を調査するため,参加者内計画で行う必要がある。よって,アンケート調査を同一参加者が3度回答することになる。これより,事前研修やアンケートへの回答等が,従業員の負担にならないように,営業時間内で行う等の配慮を行う予定である。
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Causes of Carryover |
計画していた学会(ICP2016/日本心理学会第80回大会)の参加を研究者都合で行わなかったため。また,計画がやや遅れており,アンケート後の万引き防止活動の活動募集の為のチラシ作成や,広告宣伝等の作成を行えていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,本年度行ったアンケート結果をもとに,実施店舗オリジナルの万引き防止対策の一環として,店舗の改善点を踏まえた「声かけマニュアル」を作成する。現段階で,「声かけマニュアル」原案は作成済みである。今度,協力警備企業と内容の確認を行い,印刷業者に依頼し,製本を行う。印刷ができ次第,協力商業施設の各店舗へ寄贈する予定である。
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