2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17361
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小野 史典 山口大学, 教育学部, 准教授 (90549510)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 時間知覚 / 心理的時間 / 呼吸 / マインドフルネス瞑想 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,呼吸に伴う時空間知覚の歪みを明らかにする。【a】精神物理学的アプローチでは,短い時間幅(数百ミリ秒~5秒)を対象とし,呼吸によって心理的時間が影響を受けることを明らかにする。【b】応用心理学的アプローチでは,長い時間幅(5秒~数分間)を対象とし,マインドフルネス瞑想(呼吸に注意を向け,自らの感情から距離を置く行為)によって,心理的時間が伸縮することを明らかにする。今年度は,【a】精神物理学的アプローチにおいて,前年度,発見した「衝突の知覚が心理的時間に与える影響」に関する追加実験を行った。基本的な実験パラダイムとしては,標的刺激の移動直後に,標的刺激が衝突するように知覚される手がかり刺激を呈示し,手がかり刺激の移動距離を変化させることであった。実験の結果,物理的には同じ時間間隔であるにもかかわらず,手がかり刺激の移動距離が長い方が,短い時よりも標的刺激の時間間隔を短く知覚していた。この結果は,知覚された衝突の激しさによって,見かけの運動の知覚された時間が影響を受けることを示している。追加実験では,手がかり刺激の移動距離を操作し,4段階にして実験を行った。その結果,衝突された物体の移動距離が長いほど標的刺激の移動時間が短く知覚された。さらに,標的刺激の周辺の刺激の移動が与える影響を調べるために,手がかり刺激の移動方向を反対にして実験を行った。その結果,周辺の刺激の移動は,標的刺激の移動時間の知覚に影響を与えないことが示された。これらの研究成果は,日本認知心理学会第17回大会にて口頭発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「衝突の知覚が心理的時間に与える影響」の追加実験により,衝突された物体の移動距離が長いほど標的刺激の移動時間が短く知覚されること,さらに,周辺の刺激の移動は,標的刺激の移動時間の知覚に影響を与えないことを示した。また,これらの研究成果を日本認知心理学会第17回大会にて口頭発表を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果をもとに論文を完成させ,海外の学術誌に投稿する。
|
Causes of Carryover |
今年度は,【a】精神物理学的アプローチにおいて,論文執筆及び投稿を行う予定であったが,実験の結果,より詳細な追加実験が必要であることが判明したため,計画を変更し,今年度,追加実験を行い,論文執筆及び投稿を次年度に行うことにしたため,未使用額が生じた。
|