2016 Fiscal Year Research-status Report
エピソード記憶の符号化が早い海馬CA1シナプス可塑性を引き起こす
Project/Area Number |
16K17362
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
崎本 裕也 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40634390)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 海馬CA1 / GABAの脱抑制 / mEPSC / mIPSC |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトではエピソード事象直後から1時間以内の期間に焦点をあて,エピソード記憶の符号化が早い海馬CA1シナプス可塑性を生じさせるか検討した。本プロジェクトではエピソード提示後の海馬CA1シナプス可塑性を検討するため,スライスパッチクランプ法,免疫染色法,In vivo脳波測定法の3つの実験系を計画し,記憶構築過程における海馬CA1シナプス可塑性を多面的に検討した。スライスパッチクランプ法を用いて海馬CA1の興奮性シナプス後電流(mEPSC),抑制性シナプス後電流(mIPSC)を検討した結果,エピソード事象提示5分以内にmEPSCとmIPSCが増加した。また,ペアードパルスの結果はエピソード提示直後にGABAの脱抑制が生じることを示した。このことから,エピソード提示が早いGABAの脱抑制を引き起こし,その後,興奮性と抑制性のシナプス後電流の増加が起きた。mEPSCの増加の神経メカニズムとしてはAPMA受容体数の増加,mIPSCに関してはGABAA受容体数の増加が考えられている。そこで,ウェスタンブロッティングを用い AMPA受容体やGABAA受容体数の増減を検討した。結果はエピソード提示から5分以内にGABAA受容体数の増加が生じるというものであった。このことから,エピソード提示による記憶構築過程において早いGABAの脱抑制,そしてその後のAMPAとGABAA受容体のシナプス移行が重要な役割を担っている可能性を明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトではエピソード提示後の海馬CA1シナプス可塑性を検討するため,スライスパッチクランプ法,免疫染色法,In vivo脳波測定法の3つの実験系を計画していた。現段階では,スライスパッチクランプ法を用い,エピソード提示直後からAMPA受容体,GABAA受容体のシナプス移行が生じているという可能性を示せた。これらの受容体を定量化するために免疫染色法を計画していたが,既知の免疫染色法ではこれらの受容体の定量化は困難であった。そのため,代替法としてウェスタンブロッティングを用いてAMPA受容体とGABAA受容体の定量化を試みた。結果はエピソード提示から5分以内にGABAA受容体数の増加が生じるというものであった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,In vivo脳波測定法を用いて生体の海馬CA1ニューロンが時間経過に伴いどのように振舞うのか検討したい。
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Causes of Carryover |
平成28年度で予定していたpatch clamp法の実験が予定より少ない被検体数で行えたため,申請時に計上したよりも,試薬やラットの購入費を抑えられた。そのため,予算と使用額に違いが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度ではin vivo電気生理学実験を計画しており,ラットや電極等消耗品の購入にあてたい。
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Research Products
(5 results)